読んでいるときは謎解きに夢中で、一気に読めたものの、ラストの終わり方がなんとなく、あっけない気もする。

タイトルは、普通聖書や古典作品の手書き写本を指す言葉だが、ここでは巻物にたいして、紙や羊皮紙を裁断し、綴じて、表紙をつけた本の形態を現す言葉だと、訳者あとがきにある。

英文学科を卒業し、銀行マンになり、顧客の資産運用をしていた主人公の青年。その功績で、ニューヨークからロンドンへ栄転が決まっていた青年は、その間の休暇を使ってする仕事を大得意の顧客から依頼される。

イギリスの公爵家が大戦前にアメリカに避難させた代々の蔵書が、整理されることもなく、木箱にしまいこまれたまま。それを取り出して分類整理してほしいと。さらにある写本がないかどうかを探してほしいと。
はじめは畑違いだと戸惑っていた青年だが、偶然知り合った中世学の大学院生である若い女性と知り合い、その写本の存在を否定する彼女と共に探索を始めると、いつしかのめり込んでいく。しかも写本の探索を望んでいるのは公爵夫人で、公爵自身は止めようと青年に圧力をかけてくる。

一方、青年は友人からもらったコンピューターゲームにも夢中になり、自堕落な生活になる。現実に近い画面で繰り広げられる冒険を続けていると、見覚えのある景色が現れたりして驚く。操作法がわからず放置したために、ゲーム内では時間の速度が早まり、何万年もの地球の変化を疑似体験する。
写本の探索と無縁に思えたゲームだが、その作者の一人がかつて公爵夫人に頼まれて写本探しをして、ありかに気づいたものの、夫人のためにと知らせなかったと聞かされた青年。彼の話から一度は諦めた写本のありかに気づいて、ついに発見するも、協力者の大学院生の裏切りにより、写本をとられてしまい、公爵夫人は逃げ出す。

写本の作者はそのなかで、当時の公爵夫人と不義をなし、二人の間の子を公爵の跡継ぎにしたと、暗号で書いていた。血筋疑惑のスキャンダルで、公爵に優位にたとうとした夫人。
写本が実在するかどうか、どこにあるのか、暗号で隠されたメッセージはどこにあり、解くことができるのかどうか。そんな謎解きにより、読まされてしまったが、最後はあっけなくて、つまらない。
訳者は書物を愛するすべての人にお勧めだと誉めているが、私にはそれほどには思えない。