これまたはじめての作家さん。略歴によると、茨城の図書館司書の傍ら執筆してる作家とか。『襲名犯』で江戸川乱歩賞受賞し、第二作の『レミングスの夏』が今年映画化されるとか。

茨城のホームセンター内のペットショッブに勤めるバイトの大学生を描いた作品。ショップにいるメンバーは、大学生の学人、獣医大学を中退した金髪の幸多、二人のバイトの指導係のチーフ柏木、会計の牧田、店長の丹生。レジ担当のパートのおばさん赤井。
獣医を目指していただけあって幸多は動物に詳しいし、動物好き。そんな幸多に張り合うくらい動物が好きで動物になつかれているのが、七歳の瑠璃ちゃん。そんな瑠璃ちゃんに向かって、インコのルリが死ねと言った。瑠璃ちゃんの気落ちを心配した学人と幸多は誰が犯人かと調べ始める。そして発見したのはルリが置かれていた事務所に仕掛けられていたICレコーダー。瑠璃ちゃんの美人のママをストーカーしていたやる気がない店長が仕掛けたことを暴いた二人とチーフの柏木。
店長は左遷され、柏木は店長に昇格。

そんな話を振り出しにショップで起こる様々な事件やメンバーにまつわる騒動を描きながら、ペットショップの現状や動物と人間の関わりについて考えさせられる物語。
動物をペットにし、売買することで成立する商売である点で、最初からペットショップに負の印象があるのはぬぐえない。しかし、ペットの存在は古くからの習慣でどうしようもない。それを前提にして、いかにペットの動物たちが大切に扱われ、幸せな生涯を得られるかを考え努力するのが、ペットショップの役割だろう。
二人のバイトは身を持ってそれを実感し実現しようと努力する。

幸多と父親の溝や、新店長柏木の鳥が苦手な秘密とその克服。幼い頃の淡い恋をいまだに秘めていた牧田さんと詩人。柏木さんの店長昇格でタイトになった業務のヘルプに本社から来た女性。動物は好きだがペットショップに偏見がある彼女が幸多たちと理解し会えるまでの顛末。動物愛護協会に隠し撮りされて、発言を曲介された学人。就職に悩み、ささくれだつ気持ちを癒してくれたのは大学の女性友達とショップの仲間たち。本社に謝りにつれていかれて面談したのは、幻の会長。ペットショップからはじめて全国的なホームセンターを創業し、引退した会長。それがなんといつも店に出入りしている、動物に詳しく、だじゃれ好きな老人だった。