吹奏楽部の学生の青春ものだと思っていた。読んでみたら、公立中学の吹奏楽部のバックを支えた親の会の物語だった。
父親の上司の息子が吹くトランペットに魅了されて、同じ私立中学の吹奏楽部に入りたいと思った小学六年生の陽介。
敏腕編集者である母親陽子は息子の希望を叶えてあげたいと思う。夫よりも高給で一人息子だから、費用はなんとかなる。息子の成績も悪くないと楽観していたが。
名門私立の入学試験は厳しいと話を聞き、急遽塾通いをさせて頑張ったが、不合格。

公立中学に入り、吹奏楽部に入部したものの、担当の先生に割り振られたのは、聞いたこともない楽器。かさばるし、交換部品なども金がかかる。
モンスターペアレントも顔負けのブルドーザー陽子は先生に直談判してみたが、あっさり撃退。

きれいな先輩女子の影響か、陽介は熱心に練習を始める。仕事が忙しいから、保護者会はスルーするつもりだったが、そんなに甘いものでもない。日当たりがない楽器を演奏する息子にもコンサートには出てもらいたい、親バカで過保護の母親である陽子は、やがて嫌でも親の会に参加させられていく。

定期演奏会の会場である市民会館をゲットするために、市内の三校の吹奏楽部保護者たちは、他の競技との競争で、何日も前から行列に交代で並ぶ習慣。夜中に割り当てられた陽子。取材で市長とあった陽子はその愚痴を話し、市長から行列しないようにしてもらえた。

何回かの演奏会ごとにバックで働く親の会のし烈な働きと軋轢。PTAのバックについては漏れ聞いていたが、まったく同じなんだ。メンバーの数が少ない分、より過激になるのかもしれない。

役員選出、従来の習慣を続けることの軋轢。何人もの子がいて、保護者会に居座っている女帝との戦い。職場でもブルドーザーと呼ばれる陽子は、親の会でもともすれば暴走し勝ち。それを利用して女帝と対決させる友人。
杓子定規の顧問先生に代わり、有名な演奏家だが大学出たばかりの新しい顧問。期待もできるが、習慣にこだわらず改革を進める先生を苦々しく思う女帝一派。対抗するためには、参加自体が嫌でも親の会の役員になるしかない。

新たな役員六人と顧問先生の七人が奏でる演奏がうまくいけば、子供たちの演奏もうまくいく。万年銅賞の学校が金賞をとり、さらに最後には県大会出場を果たす。