見当たり捜査官である刑事の話。指名手配されている顔写真を頭に焼き付けて、街の雑踏をひたすら歩き回り、記憶している顔の人を見つけて逮捕する。それが見当たり捜査官。警視庁刑事部捜査共助課所属。捜査員十二人は三人づつで班をなす。捜査地域は決まってない。都内ならどこを捜査しても構わない。手配班を確保したかどうかの実績だけで評価される厳しい部署。

二班班長の白戸は五年目の見当たり捜査官。三十九歳独身。出会いサイトで知り合ったアラサーの千春と同棲している。知り合った頃は無職だった千春は今介護職をしている。

何の当てもなく街を歩き回る見当たり捜査では平均して月に一人逮捕できれば普通だが、時には数ヵ月誰も見つからない時もある。そんなときは心がすさむ。そんな白戸を優しく見守ってくれる千春。籍は入れてないが妻と同様。しかし白戸は彼女の過去を知らない。聞こうともしない。

手配を見かけたら無意識に感じられる。目の奥が弛緩する。五百人の手配犯の写真を手帳に張り付け、記憶している。すれ違った瞬間に無意識に見覚えがあると感じたら、誰だったかを確認する。近くにいる仲間に連絡して、退路をたち、顔を確認してもらう。確認できたら声をかけ逮捕。近くの交番や警察署に連絡するかパトカーを呼び引き渡す。そこまでが職務。

ある日逮捕した指名手配犯塚本。本人は濡れ衣だという、国策逮捕だと。

その逮捕が巨大な陰謀事件の引き金になる。

何ヵ月も逮捕できず自信を失いかけていた白戸は大阪府警から手配されていた男を逮捕し、大阪まで連れていくが、駅に降りた直後に毒殺される失態を演じる。背中に注射器で毒を刺された模様。その場で、意外な顔を見かける。元の同僚で死んだ男の顔を。見当たり捜査官は多少整形していても造作の配置などから見当てることができる。
さらに中国人マフィアの一人を逮捕したさいには公安刑事が姿を見せる。その双方から監視され、拉致されかけた白戸は、背後にうごめく陰謀に関わっていく。
死んだことにして公安刑事の手足となったもと刑事が公安刑事を裏切り、命を狙われる。それにまきこまれ、彼らの正体を白日のもとにさらす手助けをさせられた白戸。もと同僚は命を懸けて、薄汚い公安刑事を罠にはめ、逮捕させる。白戸は証人にされた。

華やかさはないし、見当たりできるまでは退屈な日々を過ごす見当たり捜査官。これも刑事なんだ。