警視庁直属の科学特捜班の活躍を描くシリーズ最新作。
キャリアの警部を頭に、個性的な科学者五人で構成される科学特捜班と、警視庁との連絡役を勤めるベテラン刑事菊川が主な登場人物。

今回持ち込まれた事件は大学研究員の奇妙な誘拐と、その後の原因不明の病。呪いにより起きたということで、所轄は事件としての扱いに困り、科学特捜班の出番となる。

被害者は研究室の准教授と女性の助手、そして研究員。いずれも帰宅間際を研究室の近くで拉致された。目隠しされたまま、椅子に縛り付けられ、呪いをかけると言われて、どろどろしたものを飲まされたあと、解放されている。身代金の要求もなく、肉体的な傷もうけてない。しかし解放後二週間で、激しい頭痛と手足のしびれで緊急入院。原因不明と言われていた。

法医学担当のメンバーにより、検査の結果、特殊な寄生虫により髄膜脳炎にかかったことがわかる。死亡率が高い病ではないが、被害者の一人が死亡する。

その寄生虫の媒介をしたのはカタツムリの一種。飲まされたのはそれか。被害者の一人は、お前たちがひどいことをしたから呪うのだと言っていた。

拉致された状況から単独犯で若い男性で,研究室内の人間とプロファイリングした心理学担当の青木。それ以上のことはメンバーにも明かさないが、何かを感じている様子。

研究室にどんな問題があり、誰が誰に恨みを抱いたのか。そして誰が呪いをかけたのか。

研究室のメンバーへの聞き取りには、特捜班全員が参加する。人間嘘発見機になりうる第一化学担当で嗅覚に優れた黒崎と、物理担当で聴覚に優れた翠は、相手の微妙な変化を感じることで嘘をついたかどうかを知ることができる。

その聞き取りを重ねることで研究室内の人間関係に関わる問題が明らかになる。研究室の担当教授は一年前まではカリスマ教授の福原だった。研究者としてのカリスマ性と共に、独占欲が強い男だった。気に入りの助手への執心と、彼女に近づく研究員へのパワハラ。しかも教授は失踪していて行方不明。

研究室に出入りしていた学部生に会った途端に、青木の態度が変わる。ようやく容疑者を見つけた。青木が想定していた犯人像はサイコパス。福原教授もどうやら同じだった。証拠はないが彼が犯人だと確信した青木はわなをしかけ、その男を確保し逮捕。自供させる。

つまらないわけではないが、やはり刑事物の方が共感しやすいかな。