連休初日の読書はこれ。月というのはなんとなく気になる興味深い存在。月の魔力とか、占星術における月とか。

人が死ぬときには、そのとき心にかけていたことが、虹とか岩というオブジェとして、または香りや温度といった五感に訴える形のものに託されて残る。残されたものが月導つきしるべと呼ばれ、それを読み取る特殊能力を持つ者を月読つきよみという。

これは著者の作り出した架空のものだが、いかにもありそうな気がして不思議だ。しかも巻末の解説によれば、舞台となる日本は現在よりも過去の世界に似た別世界、平行宇宙だという。読んでいてあまり違和感がなかった。

最初に月読みとして生まれついた男の異能に目覚めたエピソードが描かれて、ついで二十年後の事件にはいる。その月読みの男は兄弟や両親と引き離されて、先輩である大人の月読みのもとに養子として引き取られ、月読みの訓練を受ける。月読み自体は誰も同じことしかわからないが、それをどう表現し、依頼者に伝えるか、また本人の生きるすべについて教える。

実地訓練として養父と来た田舎の町で月読み朔夜は記憶を失い、養父を見失う。その後世話してくれた第二の養父の死後、失われた記憶と失踪した養父を探すために、この町に来た朔夜。

この町では若い女性を狙った強姦魔事件が続いていた。そして最近殺人事件が起こる。一連の強姦事件とは別の事件だと主張する刑事の河井は被害者の叔父ということで捜査からはずされ、一人勝手に調べていた。そして月読み朔夜と知り合う。

岬付近に住む香坂家は町の一割を所有する大地主。部屋に閉じ籠る当主と、その妹涼花、彼女の養女烱子。女子高生の烱子の同級生で柔道をしていた也寸志と陸上部だった克己。克己は最近養子だったことを知り、将来のことと共に悩んでいる。

岬近くの屋敷の離れで月待ちの宴が開かれようとしたときに、烱子の部屋で見知らぬ女性の首吊り死体が見つかり、克己ら警察が調べ始めた矢先、離れが焼け落ちる。

殺人と放火、誰が何のためにしたのか?被害者は誰か?克己と烱子の出生の秘密が発端となった事件。現場に現れた月導きを読み取り、錯綜とした事件関係者の繋がりに気づいた朔夜は双子の兄の助けで、二つの現場での殺人を未然に防ぎ、しかも懸案の養父の消息と失われた記憶を取り戻す。

続編があったような気がする。見つけたら読んでみたい。