高校生の一風変わった純愛物語か。

茨城の高校生、小谷野は夏休みが始まった頃、学校から帰宅途中、湖にかかる橋を自転車で走っているときに車に跳ねられ、自転車ごと転落。幸い軽い怪我で済み、半月ばかりで退院。しかし、記憶を失っていた。生活するために必要な知識はなくしていないが、両親や家族、友達などを認識できない。夏休みが終わる前夜、記憶はないがカレンダーに自分が書き込んでいた時間と場所のメモに従い、夜十時半に校庭へ向かう。
そこに待っていたのは二人の男女。生駒佳祐と名乗る、彼より長身で細身の男子と、春日まどかというポニーテールの少女。二人は同級生で、しかも同じ写真部だという。部長は小谷野。夜空の星を撮影することになっていたという。十月の文化祭に向けての目玉にするつもりだった。

学校が始まり、不安を抱いていた小谷野だったが、担任からクラスメイトには事情が説明されていた上、クラス自体がもともといいクラスだった。心配することもなく学校生活が始まり、やがて文化祭のことで校内は盛り上がる。

その文化祭の最中にまるで小谷野にあてたかのように、あちこちで色つきの奇妙な数字が見られるようになる。出席簿順に書く日誌の小谷野が書く頁の隅にかかれた赤い数字、7.6。体育館の壁にチョークで書かれたオレンジ色の同じ数字。

その数字かなぜか自分に宛てられたメッセージのような気がする小谷野は、誰からのどんな意味のメッセージか調べ始める。数字の書かれた場所で、自分がどんな体験をしたのかを、親友である佳祐と春日に聞いてみたり、級友に尋ねたり。
そして記憶にはないいろんな事実が次第に明らかになってくる。地元で唯一の総合病院院長の娘である春日は、中学二年の時に家出騒ぎを起こして世間を騒がした。

一方、佳祐の住まいを訪れた小谷野は驚く。母子家庭で貧しい佳祐は、中学時代知人に譲り受けた学ランを三年間着続けていた。

そして文化祭で古い校内写真を見て驚く。高校時代の春日の父親が写った写真になぜか佳祐が写っている。やがて認知はされてないが、佳祐が院長の子であり、春日の異母弟だと気づく。春日の家出もその事実を知ったことが原因か。

奇妙な数字は左利き、レフティの割合で、同じくらいの割合で、佳祐が小谷野に恋を告白したような性向者の割合だった。
姉と弟に好かれた小谷野は、新たにまた友情を育む。