特異な経歴を持つアラサー女子、日和満、ヒワミツル、がタイトルにあるヒワマン。長身で短髪の彼女は中性的で、声を聞かなければ女とはわからない。何事にもこだわらず、ストレスなしで暮らしているように思える。

そんな彼女と出会った問題を抱えた人々が次々と、彼らの問題が明瞭になり、解消していく。そんな様子を描いた五編の話。

第一話では、父と二人暮らしで、酒浸りの父親から逃れようと毒殺を謀った青年が、彼女と出会ったことをきっかけに、父の心と家を出るという選択肢に気づく。

第二話ではヒワマンは京都の大学の事務員に。左翼の哲学教授、清村が行うS会という集まりに神経を尖らせている与党よりの学長。スパイを頼まれた事務員はヒワマンに任せる。その結果がネットで話題になる。報道を吟味し、自分の意見を持つように教える清村。転職を辞さないヒワマン。十年前家族三人を交通事故でなくし天涯孤独となった彼女は軽井沢に家賃収入と家族の保険金があり、生活には困らない。

第三話では、広告会社に勤めライバルに負けてばかりの女性が、ライバルの痴漢騒ぎを契機に、見えてなかった周囲にルームシェアしてるヒワマンに気づかされる。

第四話では不運に連続してあった女性が夫婦共々入院したのをきっかけに離婚を考える。そんな彼女の店に雇われたヒワマン。彼女の媒介で夫婦は共に自身を見つめ直し、新たな関係に踏み出す。必ずしも幸せではなかったヒワマンの家族。それでもなくしてみると、よみがえる思い出もある。安易に復縁するのではなく、新たな生き方を見いだす夫婦。

第五話では、半ば痴呆の老人が兵役拒否のために家を逃げ出し新幹線に乗ろうとした。切符の買い方もわからず戸惑う彼に手を貸したのが、広島に転職したヒワマン。今は浪人中の左翼政治家の事務所に勤める予定。行き先もわからない老人は両親の故郷である広島に、ヒワマンと旅立つ。市内を一緒に回り、落ち着いた老人は京都に待つ妻のもとに帰る。その世話をしたのはヒワマンと京都在住の友人たち。

東日本大震災を契機に危機意識に目覚めた良心的な人々。それを契機に生まれた作品のようだが。正直、いまひとつわからない作品だった。でも悪くない。
でもミステリーでもないし、何と言ったらいいか、読み終えた今もよくわからない。