ミュージカルや映画でいくつも主演したイギリスの女優ジュリー・アンドリュース。童話作家としても有名でベストセラーになった作品も数多いそうだ。代表作のひとつ『偉大なワンドゥードル最後の一匹』は図書館では以前から気づいていたが、その著者が彼女だとは知らなかった。それに先立ち発表された今作。

タイトルになっている少女マンディは十歳の孤児。両親の顔も家族も知らない。だから懐かしんで悲しむことはないが、長ずるに従い、胸の中に穴が開いたような空虚感を覚えるようになった。

孤児院はかつては立派な屋敷で、大きな窓や天井が高い多くの部屋があり、屋敷は装飾がついた黒い鉄の柵で囲まれ、子供が遊ぶには広い庭や果樹園を囲む高い石塀が隣の地所と隔てている。孤児院はある委員会に管理されているが、実際に世話をしているのは院長のブライディ先生。しつけには厳しいが、子供に合わせた指導をし、ちゃんと食事をさせる立派な先生。
黒い短髪でかわいくて、頭もよく、誰にも愛される少女だった。それでいて一人で考え事をしたり、本を読むのを楽しむ少女でもあった。毎週土曜の午前中は近くの食料品店の手伝いをして、小遣いをもらっていた。

裏庭の果樹園を囲む高い石塀の向こうには何があるかと好奇心に満たされたマンディは、塀に足掛かりになる石があることに気づくと、密かによじ登り、塀におい被さるリンゴの木の枝に乗り移った。その向こうに広がるのは遠くまで木が広がる森があり、小道が見えた。そこをたどりたいと、塀の反対側に降り立ち、道をたどると、森の向こうには緑の牧草が広がる草原だった。そして遥か向こうに見えたのは小さな古い家だった。

手入れされずに荒れた庭に囲まれ、どうやら無人の家。中に入ってみると、階段の上には寝室があり、一階の二つのドアは台所と、貝殻の部屋だった。様々な真珠貝が壁や天井に貼り付けられて輝いている。
一目で気に入ったマンディはそこを自分一人が過ごすお気に入りの場所にすることにした。

まずは庭の世話をしようと、孤児院の庭師に道具を借りていたマンディは、貸してもらえない道具を勝手に持ち出すようになり、罰を受ける。
やがて小さな家を失う危険を経験し、家を守ろうとして大病になる。その地所の家族に助け出され、世話を受けることで、彼女は本当の家族や家庭を知ることになる。ハッピーエンドはできすぎだが、やはりいいな。