やはり乱歩賞をとるだけの読ませるミステリーだ。

横浜に近い地方都市が舞台。美容院を経営する万季子が、スーパーの店長に電話で呼び出されるところから始まる。
六年生で優等生の息子正樹が万引きをしたという。私立中学受験を控え、なんとか密かに済ませたい。そんな彼女に防犯ビデオのテープを三十万円で引き渡すから夜に来いと言う。心配な彼女は離婚した夫圭介を呼び、二人で行くと、要求はエスカレート。彼女の体もほしいと言い出す。なんとかまとまった金額で手を打とうと、二人で再度行ってみると、店長は死んでいた。しかも銃撃されて。黙って引き返した二人のもと夫婦。

捜査本部が立ち上がり、県警の若手、南良と相棒になった地元署の若者淳一。彼は万季子とは幼馴染みだった。圭介、殺された店長の異腹の弟直人と、四人で秘密を持つ仲間でもあった。小学生の時に、交番巡査だった圭介の父が強盗犯と相討ちで死んだ現場の第一発見者だった。父の形見と圭介は拳銃を持ち帰り、後に四人で小学校の校庭に埋めたタイムカプセルにしまいこんだ。
使われた銃が警察官が使用するもので、しかも圭介の父が所持していたものと判明する。

タイムカプセルを埋めた場所、カプセルを開く合言葉を知っているのは四人だけ。彼らは互いに疑心暗鬼になる。

さらに淳一の相棒は優秀で、圭介と万季子が隠した万引き事件まで察知してしまう。

地元で成人した直人と万季子にはあるいまわしい思いでもあり、恋愛感情もあった。最初に警察に目をつけられた直人はあっさり自供したものの、証拠を提示できない。そんなとき南良の働きで、万季子に疑惑が生じ、直後に万季子が息子と失踪。
さらに南良は昔の事件にもこだわり、まだ真相が解明されていないと、淳一たちに話を聞く。

淳一の同棲相手と偶然一緒だった万季子たちは見つかり、逮捕。同時に南良は真の犯人が当時殉職した圭介の父の同僚で、今は地元署の署長であることを明らかにする。

殺人事件をきっかけに再会した四人の幼なじみ、誰が問題の拳銃を密かに掘り出したのか?
強盗犯を撃ち殺したいう重荷を持ち続けてきた淳一。

万季子の罪は消せないが、秘密がなくなったことで、今後は明るい未来を歩けるのかもしれない。

登場人物にも謎解きにも、意外な真相にも楽しめた。