一人の新米警察官の成長記といったところか。他の警察小説のような事件に関わるわけでもなく、退屈な話ではあるが、結構読まされてしまう。

大学でラグビーをしていた柿田が警視庁巡査を拝命し、警察学校の半年の初任教養研修を終えて、都内の所轄の地域課に配属された。今まで警察官なんて所詮人間だし、腹黒いものもいれば、不正を働くものがいても不思議ではないと思っていた。そんな柿田は教場の教官や所轄の先輩警官の中に、熱い思いを今だ失わない人がいるのを知って驚く。世間を醒めた目で見ていた彼は驚いた。
体育会系の彼はこれまで自分では余り物思いをすることはなく、判断することもまれだった。交番勤務にたったり、交通課の研修で違反切符を切ったり、生活安全課で違法キャバクラを内定したりする過程で、どこまでを法律違反として取り締まり、逮捕するか、迷う場面に出会うようになる。まるでいじめられっ子の復讐とばかりに違反切符を切る先輩や、馴染みのキャバクラを取り締まることに悩む先輩などを見るにつけ、犯罪との境界の判断に困惑する。
そんな彼の悩みを聞いた先輩は、警察にもいろんな種類があり、体をはって治安維持に貢献する警備部という部署があると教える。その主力は機動隊、そして要人警護もある。一般市民と接触することで生じる悩みに困る彼に、先輩は機動隊に志願してはどうかと勧める。

そうして機動隊に体験入学して訓練を受け、合格した柿田は、楽天的な気持ちで不安や疲れを癒すことにより、次第に力をつけていく。やがて、見所があると、SATに推薦されて、訓練を受け、ついには隊員となるまでの様子を描いた物語。自衛隊での訓練と戻ってからの訓練で柿田は警察官であることの意味を真に理解できるようになる。軍隊ならざる自衛隊の訓練は戦争を想定しているから、敵を抹殺するのが目的だが、SATはあくまで警官だから、できるだけ敵を確保することが目的。

機動隊員はずっとそのままではなく、またいつかどこかへ転属される、そんなこともはじめて気づいた。