東京湾臨海署安積班シリーズの昨年に出た長編作。

臨海署管内で八月のある日、暇をもて余していた強行犯係りの安積班と相良班。救急車の出動が三回、はじめは熱中症か食あたりかと思っていたが、患者が死亡し、原因不明ということで、何かきな臭いと思った安積班長は最悪の事態、伝染病かテロではないかと思い、上司に報告して調べ始める。やがて三人の被害者が同じ症状で死亡。
原因不明のため、病院が解剖して調べてみると、三人の体内から猛毒のリシンが見つかる。
それを聞いて物知りの須田が、昔海外で傘型の鉄砲で、ジャーナリストが暗殺された事件を思い出す。体内にリシンが仕込まれた金属球が撃ち込まれた。病院で調べてもらうと、被害者の体内からも同じような金属球が見つかる。

被害に遭った場所も違い、三人にも共通点はない。リシンが体内でききはじめるのに数時間かかるとわかり、調べてみると、三人は朝七時頃同じ電車に乗っていた。

さらに臨海署を名指しで、リシンの名をあげたメールが来て、さらなる犯行を予告している。

臨海署を名指しているのは、ここで過去に扱った事件が原因で、臨海署を恨んでいるのかもしれないと、過去の事件を検証した安積は、一件の事件に注目する。ジャーナリストが起こした殺人事件で、すでに判決により服役中。しかし、なぜか犯人はいまだに無実を主張している。再審請求をしていた弁護士が二年前に急死していた。証拠はないが死因に疑問がある。

本来リシンによる殺人事件の捜査の過程で、容疑者を絞り込むためにはじめた過去の事件。当時担当したのは旧庁舎時代の安積班。調べていくうちに、冤罪の疑いが出てきた。しかし、今さら冤罪とわかれば大変な事態になるし、安積自身の責任問題にもなる。捜査本部の本庁の管理官は深入りするなと言ったが、安積には止められない。冤罪なら警察の面子がつぶれても真実を明らかにしなければならない。

班長らは途中で捜査本部から追い出されたものの、捜査を続行。当時から被害者の死因に疑問があった。暴力団関係の会社に、金の着服があり、それを暴力団に知られないように、被害者を殺したといううわさがあった。
三人の被害者が一緒になった付近で聞き込みをしていた須田がリシンを撃ち込まれたが、素早い手術のお陰で命拾い。

安積班は署内の特捜部に助けられて、ついに冤罪請求ができるまでにする。