東京下町の古本屋東京バンドワゴンを舞台にした人情劇シリーズ第十作目。

八十代の三代目店主勘一からひ孫の五歳の女児まで、四世代十数人が一緒に暮らしている。さらにここに縁がある人たちがしょっちゅう出入りしていて、古本商売はともかく、笑いと騒動が絶えない家。

春から冬へ、四季の話が四話。

春。この店で大昔に作ったが、その後仕舞いこまれて門外不出の呪いの目録。それを探しているものがいる。何者がなんために探しているのか。漫画家と編集者との新たな出会いと、初代店主に関わる謎がテーマの話。

夏。古い時代の国家や皇室、華族にかかわる秘密文書を倉の奥に仕舞い込んでいる東京バンドワゴン。今回は二代目店主が若いころイギリスに留学していた頃に手に入れた作家の未発表の本にまつわる話。イギリス王室のスキャンダルが書かれているということから、イギリスの情報部と思われる男が店に現れ、勘一は逆にロンドンに飛ぶという離れ業を見せる。あり得ないのでは?

秋。神田の古本街の祭りに出展を頼まれた勘一。いつもは断るが、寄る年波、後継者の顔繋ぎにと出展を決める。折しもひ孫から友達の祖母が持っている古本について相談される。話の始まりが幽霊。

冬。勘一の息子ロックミュージシアンの我南人のテレビ出演前に、メンバーの一人がガンで出場できなくなる。代わりにと我南人は孫の高校生バンドを引き連れて出演。人気が出て、ネットで叩かれていた孫のためにと決めた。実力さえ見せれば陰口は消えるはず。曲がりくねった人生の道。医大受験を控えた孫娘、ガンがわかっても生きてる限り好きな音楽を続けるミュージシャン。

ラブだね、が口癖の我南人。一番古本屋に縁がないようで、しかし一番みんなを繋ぎ合わせ、まとめているのだろう。

大家族の今後も楽しみだが、焦らず曲がりくねった道を、回りに気を配り、自分の思いを意識しながら感じながら、ゆっくり歩いていってほしいな。