東京湾臨海署安積班シリーズ作。
七階建ての新庁舎ができ、署員も増強され、刑事課強行犯係も二つになり、第一係長の安積と、第二係長の相良がいる。
安積班には鑑識から異動してきた美人女刑事水野が加わる。着任早々彼女が捜査に加わる「新顔」という短編から始まる今作。八編の短編により構成されている。巻末の解説によれば、前作の『夕暴雨』ではアニメでお馴染みなロボットが登場したが、今作ではテレビドラマにより創造された女刑事が逆輸入されて、原作に登場したことが目玉だという。
須田と初任課で同期だった水野は最初は誰にも異分子だったが、次第に安積班の一員となっていく様子が描かれていく。
三編目の「開花予想」では、安積班とは長年の顔見知りである新聞社社会部記者の視点から、彼女のついてない日と安積班の面々との関わりが描かれる。

タイトル作では、安積班の若手二人が食中毒かと思われる症状でダウンし、捜査に加われない状態での事件捜査が描かれる。対照的な部長刑事須田と村雨が相棒となり、捜査する。本部が自殺説に傾くなかで、殺人として捜査していく安積班が描かれる。

署内で噂になっている安積班長と新聞記者山口。そんな山口から安積個人に関するインタビューを受ける。その真意は何かと余計なことを考えてしまう。

村雨と組んでいる若手の刑事桜井が、本部で組んだのは本庁の老刑事。須田に似た捜査をする相手に戸惑いながらも、次第に引き込まれていく桜井。安積班に須田と村雨がいることの意義に気づく。

暴走族相手に少人数で犯人逮捕に向かった安積、速水、水野だったが、窮地を救ったのは速水の部下である白バイ隊。木枯らしが吹く頃は白バイ隊が期限が悪くなる。そんな彼らに包囲された暴走族の方がかわいそうに思える。

ラストは冬真っ盛り、安積は風邪を引き、倒れそうになりながらも、無理して現場に出向いたものの、部下に休むように言われてしまう。安積の代わりはちゃんといる。第二係長の相良にゆだねればいい。一見敵対していると思い込んでいたが、実は若い頃の安積と同様、まっしぐらに仕事に取り組んでいるだけなんだと気づく安積。部下や仲間を信じて任せることも班長の度量。
異分子の女刑事が安積班に溶け込んでいく過程が、八編で描かれているといえる。