東京湾臨海署安積班シリーズの一作。
安積班シリーズは第一作の『二重標的』が、東京ベイエリア分署として出たのが、1988年。今野さんが作家デビューしてから十年目で、作品では二十一作目。

安積班シリーズは、最初の二冊のあとは、渋谷と原宿署の間にできた神南署に移動して、外伝含めて四作が出た。さらに再び東京湾臨海署に移って、現在に至る。後半シリーズは、『陽炎』から始まり、『最前線』『半夏生』『花水木』『夕暴雨』『烈日』『晩夏』と続いていく。
先程読み終えた『花水木』は臨海署がまだプレハブな旧庁舎での事件や活動を描いている。

安積班長以下お馴染みの部下四人と、交通機動隊小隊長速水がメイン登場人物。
五月も終わる頃に起きた喧嘩沙汰。被害者が届けを出せば、安積班が出ていかなければならない。双方が示談すれば、地域課が叱るくらいですむ。それと同じ頃に、公園で遺体が見つかり、本庁から一班が来て特捜部が設けられる。本庁は一班で十人、所轄も同じ人数を出さないといけないので、安積班五人では間に合わない。他の課からの応援が加わる。
複数人の暴行によると検死された事件を解決したのは、所轄の喧嘩事件だった。今回も須田刑事の異能が光る。

入梅時のコンビニ強盗事件、安積らの馴染みの店での推理合戦を挟んで、満月による異常心理がもたらした事件が描かれる。狼男出現の噂が管内の人や警察官を惑わせる。

最後はクリスマスイブに起こった奇跡のような事件。イブと日曜が重なり、混雑する台場で、傷害事件が起こる。被害者が収容された病院を脱出し行方がわからない。着ていたルンペン服を残し、シーツを体に巻いて逃げたらしい。長髪にひげ面。白いシーツに覆われていたら、絵画で見かけるイエスと同じ。加害者が捕まり、その場に現れた被害者に膝まづいたようなシルエットは奇跡の情景に見えてしまった安積。イブの夜に起こった奇跡のような出来事を描いた作品が最後の作品。

シリーズの新しい作品『烈日』を古本で買った。これまで読んで、このシリーズはおしまいにしよう。これが出たのが、
2010年だから、今はさらに続編が出ているかもしれないが。

明日の仕事帰りには、市立図書館分館へ四冊返すことができる。何か目新しい本があればいいが。