イクメンの子育てを通して、家族を描いた作品。

トモローは美術関係の雑誌の編集部にいたが、親会社の業績不振のため、いきなり会社がなくなってしまう。当然クビ。大学出て就職して三年、高校時代から付き合っている年上の恋人美智子との結婚も考えていたのに。美智子に話したら、それなら結婚しようと言われてしまう。インテリアデザイナーとして仕事に燃えている彼女は、トモローが主夫になればいいという。幼い頃に母親が家を出て、父親と兄と暮らしていたトモローは料理ができた。作家になるために、今も書いていて、あちこちの新人賞に応募している。主夫ならば、それにも集中できる。
美智子は一人娘で、溺愛する両親は反対しない。昔から付き合いもあるトモローを受け入れてくれる。

そんなトモローが結婚して、アパートに暮らしはじめて半年。美智子が妊娠。やがて女の子が生まれ、智里と名付けるが、いつのまにかチーコという呼び名が定着。
出産休暇で美智子もチーコの世話はするが、家事はもっぱらトモロー。妻が仕事に復帰すると、トモローはイクメンとして、チーコの世話をするようになる。女でもはじめてだと悩んだりするが、彼とて同じ。チーコが成長すると、昼間に近所の公園に出掛けたりするが、はじめは珍しそうに話しかけてきた近所の主婦たちも、いつも子連れでいる彼を不審な目で避けるようになる。別の公園へいき、知り合った主婦と意気投合し、ママ友になると、今度は不倫と勘違いされ、噂になる。未成年で出産した母と、ヤンキーぽい父の若い夫婦と知り合い、互いに近所では浮いている同士で仲良くなる。

そんなある日、兄から生みの母に会ってみないかと言われ驚く。兄には母と思い出があるが、トモローには記憶がなくとまどう。
母は広島のホテルの娘で今は社長とか。ガンにかかった母が捨てた二人の子に会いたくなったらしい。兄はすぐに会いに行ったが、トモローは決心がつかず,あとで一人訪ねていく。
知らなかった母のことを知り、家族について考えさせられたトモローはそれを題材に小説を書き、はじめて受賞近くまでいく。

妻が管理職になり、収入源を補うためにパートに出るようになったトモロー。チーコを保育園に預け、パートにがんばる。

なんでも朱川さん自身の体験をもとにした自伝的な小説とか。同世代には共感される話だろうが、年老いた私にはそれほど感動もなかったかな。