シリーズ五作目にして、最後となる作品。五冊になるまでに二十年近い年月がたっている。

モップを持った天使のような清掃人キリコの日常の謎ミステリー。全四話。

第一話と第二話では語り手は語学スクール事務員の戸波。一度だけカウンセリングをした受講生からいきなり婚姻届が送られてきて驚く。しかもその男が殺されてしまう。訳がわからず困惑する彼女を助けてくれたのは、偶然知り合ったビルの清掃人キリコ。彼女の謎解きで、真犯人も明らかになる。
第二話では、女性に人気なイケメン講師をめぐって、ファンの女性による新人受講生のいじめが起こる。しかもなぜか新人は新聞の文化部記者で、わざといじめにあっているようにも思える。真相を明らかにしたのは、やはりキリコ。

第三話ではコワーキングスペースで一緒の一人が血糖値異常で緊急入院する。糖尿病なので、カロリーレスの飲料しか飲んでいなかったのに。キリコは甘味が多い飲料の空きボトルを誰も飲んでいないのに、よく見かけたという。もしかしたら中身を入れ換えて、目当ての男を陥れようとしたのではないか。でも誰が。その被害者の過去を調べてみると、男と女の視点の違いから、ある女性に怖い思いをさせたことがあると、キリコは明らかにする。

キリコには姉がいた。今は離婚して、一人福岡に住んでいる。母親はすでになく、父親は再婚していて、普段は行き来もあまりない。そんな姉が雲膜下出血で入院。慌ててキリコが駆けつけたものの、なくなった。夫の大介もかけつけて、葬儀を執り行う。そのあとから、キリコの様子がおかしい。部屋に閉じ籠り、仕事も家事もしない。優しい旦那はそんなキリコを暖かく見守る。そしてキリコは旅に出る。どうやら福岡に行ったらしい。姉との間に何かわだかまりがある様子。姉が離婚したのはキリコが義兄の浮気に気づき、姉に教えたから。それが姉をしてキリコを遠ざけたのは納得いかない。他にも何か原因があるのではないか。それを明らかにしたのは大介宛に送られていたキリコと見知らぬ男性のツーショット写真。もしかしたら姉もキリコと義兄の写真を送られ、二人の仲を疑っていたのではないか。離婚時の弁護士により、それは確かめられた。今さら姉には弁明できないが、そんな悪質ないたずらしたやつにはこらしめをしないと。キリコは姉と大介と三人でその男に冷水を浴びせて、恨みを晴らす。