任侠シリーズ三冊目。東京下町の小さなやくざ一家。組長、代貸し、若いもの四人だけの小さな任侠組阿岐本組。古くから顔が広い組長の度量でなんとか生き延びている。地元の堅気の人には迷惑をかけない、困っていたら何でも屋のように働く。そんな組にも指定暴力団との区別がつかない素人が多くなり、肩身が狭い。市民による追放運動が起こり、一時は困惑するも、背後で糸を引くものがいることがわかり解決する。

組長の道楽は人様のために文化的なことに関わろうとすること。今までに倒産寸前の出版社や私立高校に関わり、なんとか再生の目処がたったところで身を引いてきた。今回組長が興味を示したのは総合病院。
医療には素人だし、根本的な問題は政治の問題で、慢性的な医師不足や看護師不足と、現在の職員の過密な労働実態。
それでもプロとしての医療に関わることに真剣な職員のために、組長は手を出そうとする。心配する日村代貸し。

病院の掃除、消耗品の購入、売店、給食,医療廃棄物の処理などは、すべて外注の専門業者が行っている。そして問題の病院は、そのすべてを一業者に丸投げして任せている。マージンも割高で、病院経営の財政を圧迫している。しかもその業者の背後には、地元出身で関西暴力団の傘下にある組がいるという。

いつものように病院にはじめて来た組長は、病院の外観が汚れていたり、中が薄暗いことが気になる。組員に命じて掃除させようとしたら、事務長が止めにはいる。そうしたことは業者に一任してあるからしてはいけないと。

背後に組があることがわかっても組長は動じない。外観の掃除や蛍光灯の取り替えなどを進める。業者の嫌がらせで、怪我をした患者がいても一蹴。

病院を建て直すのに医療技術やサービスには不足はない。厳しい環境でも医師も看護師もがんばっている。それに感動した組長は、業者と背後の組との対決を決意する。
しかもどうやらその暴力団が背後で糸を引いて、阿岐本組の町からの追い出しを画策している模様。しのぎにかかわることなら組長にかなう相手はいない。相手の組長と会い、相手の非を明らかにして、業者の追放を勝ち取る。
その代わりにと、組長は病院経営からの撤退を申し出る。それにより相手の面目も一応はたてることで、解決する。見事だね、組長。またどこかでそのキップを見せてもらいたいな