殺人などの時効が廃止されたことで、捜査を継続して未解決事件を解決することになった。被害者遺族や関係者には時効により事件がうやむやにされるのは忍びないだろう。ただ他方では、捜査活動が増えることで警察の負担は大きくなるし、関係者にとっては区切りがつかず、前に進めなくなる恐れもある。
警視庁捜査一課に新たにできた未解決事件の再捜査を専門に行う特命捜査対策室ができた。警視庁が国民への弁明に作ったと揶揄されることも。職場は本庁ではなく、四ッ谷にある第四方面本部内に部屋を持つ。

ある事件でキャリアに暴言をはいた刑事水戸部は、謹慎を解かれ、特命捜査官につく。十五年前四谷荒木町でおこったアパート管理人の七十才の老女の殺害。地元の有力者が当時参考人として事情聴取を受けたことでいまだに陰口をきかられるのを苦にして、地元の署長に解決を求めて始まった再捜査。

水戸部の相棒は退職した刑事で、当時捜査本部にいた加納。
当時は地上げの終わる頃で、その線で暴力団の関与を主として捜査されたが、容疑者も浮かばす迷宮入り。

最初はそれからはじめたものの、やはり何も浮かんでこない。水戸部は別の道を探し始める。捜査記録の一部がちぎられている。どうやら地元の料理屋主の証言。しかも最近ちぎられていることから、相棒に不信感を覚える水戸部。

水戸部は怨恨関係かもしれないと、被害者の過去や関係者について、地元の住人たちに聞き込みを続ける。

浮かんできたのは、芸者だった被害者の妹分の失踪。女ぐせが悪い事業家がその直後、被害者を身請けしている。

失踪した妹分芸者に心を寄せていた板前。彼は今死病の床にある。

加納は捜査過程で浮かび上がった知られざる暴力団員の殺人事件を嗅ぎ当て、それに邁進することで、本来の捜査を放棄しようとしている。
そして、地層を深く掘り下げるようにして、過去を探っていった先に水戸部は隠された事件の全貌を明らかにする。それはつまり死が間近な男を殺人犯として調べることになる。加納はそれに気づいて目を背け、水戸部は捜査官として立ち向かおうとする。

やはり、こうした捜査の警察ものが一番興味深い。様々な証言から隠された事実を浮かび上がらせていく過程が、なんとも面白い。この手の刑事物が他にはないかな。著者は北海道警ものが多いが、これの続編はないかな。