半夏生とは和暦の言葉で、夏至から十一目。梅雨が終わり、田植えも終わる。雨が一番多い時期。事件が解決したあと、捜査本部にいた公安の刑事で、内閣調査室に出向中のキャリア警視が言う。その名をもつ花があり、半分化粧したような色から、彼は自分を官僚の生き方の例えとしてあげた。

東京湾臨海署安積班シリーズの一冊。
発端はお台場のビルの狭間で見つかったアラブ系外国人の行き倒れ。気がついたルンペン風の男がそばにいた男に警察や救急車への連絡を頼む。駆けつけた白バイ警官から署に一報がある。ルンペンも通報者も姿を隠した。

外国人の身元がわかればすぐに片付くはずが、身元がわかるものを所持していなくて、意識がない。最悪の事態も考えておくべきだと考えた安積が上司の課長に報告すると、それが次々と上に伝わり、大変な事態になる。
テロ、それも病原菌をもつ外国人によるテロの可能性があるということで、ついには内閣まで巻きこんだ非常事態になる。

病原菌の調査のために検体は入院した病院ではなく、アメリカの専門機関に送られたために、検査結果がいつわかるのか不明。

行き倒れの病人に近づいた安積の部下二人も隔離され、捜査にも支障が出る。

病人がいたお台場すべてを閉鎖するわけにはいかないため、発見されたビルは閉鎖、そこに通じる道路も閉鎖。しかも病人に接したものをすべて確保と命じられても、閉鎖で人影のないところで探すのも無理。監視カメラを調べることしかできない。

同じ頃地下の駐車場で若者三人と喧嘩して怪我を負わせた男がいる。どうもそれが病人を最初に気づいたルンペン。

やがて閉鎖されたお台場で逃げ道がない男は確保され、病院に閉じ込められる。
さらに外人が引ったくりにあったという通報があり、大阪に帰った目撃者に刑事が聞いてくると、どうやら病人が被害者。パスポートを狙った犯行らしいとにらみ、付近の暴力団に踏み込み、盗まれたパスポートが発見され、外国人がテロリストの疑いは晴れた。

外国人は死亡したものの、隔離された刑事たちの様子を見るとテロの病原菌というよりは、ただのインフルエンザらしい。

政府まで巻きこんだ騒ぎをどう納めるか。安積は公安刑事に密かに見込みを報告。彼はマスコミに流すことで、間違いを公開して、騒ぎを納める。