カナダのバンクーバー島在住の児童文学作家ホーヴァスの作品は、前に読んだ『 ブルーベリー・ソースの季節』に続いて二冊目。今作もなかなか読みごたえがある作品だった。
父親やおばさんたちの兄弟と、主人公の子供たちが対照されていて、ユーモアとはいえ、ピリッと辛いものが混じっている点で、子供だけでなく大人にもアピールする作品。

オハイオ州に住む二人の娘と弟の三人の子供たち。両親が一週間の海外旅行に出ることになったが、子供たちの世話を頼むつもりのベビーシッターが病になり、留守を頼めない。知り合いや別のシッターは見つからず、父の姉ライラおばさんは旅行中。進退極まった父に母はカナダに住むサリーおばさんを頼むと言う。気が進まない父を説得して、来てもらったサリーおばさんと子供たちの一週間の物語。

昔カナダのバンクーバーで育った父ロビー。二人の姉と二人の兄の五人兄弟。祖父母や祖母の弟や妹もいる大家族で暮らしていた。

そんな父が遠いオハイオで暮らしているわけ、サリーおばさんを嫌うわけを解き明かすサリーおばさんの昔話。

昔の家族の話なのに、個性的な大おじさんや大おばさん、あるいは近所に住んでいた人など、豊かな自然に囲まれた生活の中で生まれる、子供の中に潜むダークな面。
サリーおばさんは、昔末っ子で大おじさんの気に入りだったロビーに対して行ったいじわるが、ロビーの娘たちの末っ子フランクに対する態度の中に潜んでいるのを看破して、昔の自分達の過ちを話すことで、自然に変えていこうとしたようだ。

実在したか比喩かわからないが、伝説の魔物トロルに弟を引き渡そうとしたサリーの受けた罰は、家族の融和が失われ、ばらばらになり、今は生家で独り暮らしをするはめになった。自分の過ちをロビーの子供たちに繰り返させてはいけない。人がトロルに近づくのは、人の心の中に巣くう暗いもの。それさえなければ、トロルが人に近づくことはない。
ハロウィンの夜、海辺に弟を置き去りにしたサリーと兄姉。そのときサリーの心にあった弟への嫉妬と故ない恨み。子供だって暗いものが巣くう。それを直視し、立ち向かうことが大切だと、サリーおばさんは子供たちに教えている。彼らを通じて、サリーおばさんと父のわだかまりがなくなるといいね。