著者は岩波書店の編集者として、河合と知り合い、長く親交を結んできた方。のちに社長にもなった方。

そんな大塚さんがインタビューしてできた河合の自伝とも言える『未来への記憶』をもとにして、河合隼雄の生涯をたどったのがこの作品。
河合が誕生してから、ユング研究所を卒業して帰国、心理療法家として歩き始めるまでを描いている。
私の関心はやはりユング研究所での日々を描いた第四章。第五章には卒論とも言える日本神話の研究の中身について語られている。それが本として出されたのは四十年後。

京大の数学科を出て、高校教師を勤めていた河合。
人間の心理に興味を覚え、ロールシャハテストに打ち込み、天理大学の講師に。臨床心理学に関心を寄せ、アメリカに留学。留学先で、ユング心理学と出会い、その本場で勉学することを恩師に進められ、スイスのユング研究所へ。ここには家族がいれば一緒に住むことを望まれるので、妻を同行したというのは新鮮な驚き。
ユング研究所での様々な学者たち。

なかなか興味深い話だった。つまみ読みするつもりが、いつのまにか前後にページを戻して、後半はしっかり読んでしまった。大学にはいるまでの河合にはあまり興味がなく、読んでないから読了とは言えないが。

日本神話の研究など、河合の著作も読んでみたくなった。ただ私は療法家としての河合にはそれほど興味がないかもしれない。