中国歴史ファンタジー。中国の唐代、九世紀前半。皇帝は第十四代文宗。

それより千年前の漢王朝第七代武帝の時に、天地創造の女神西王母により授けられた秘宝五嶽真形図。武帝の堕落により、秘宝は取り上げられ、いずこかへ去る。西王母は秘宝の器となるべき種を三つ残した。そんなプロローグのあとに始まる本編。

三つの種が調和を失った世界で育ち、いびつな状態で成長したのが三人の武人。漢人の著名な将軍の孫息子千里。十八歳になるのにいまだ五歳児の外形ながら、かなりの武術を持つ。少林寺で修行していた少年僧絶海。チベット高原で村一番の狩人バソン。秘宝の器となるかもしれない三つの種が彼らであり、彼らを見守りつつ秘宝を世に出す術ができる道士趙居真。
彼らに立ち向かうのは遥か昔、世界の主となるために戦い、人に破れた異形人の頭共工。

そして千里の母は共工の娘ということで、千里には二つの血が流れている。

秘宝の図を手にして、自分の望み通りの世界を作ろうと戦う。第一巻の最後で、千里はなんとか戦いに勝ち、図を手にしかけたものの、母の願いである二つの種族の共存の道が明らかになるまでは、秘図を手にしないことにする。

第二冊では、一旦もとの世界に戻った三人の武人が再会し、新たな困難に立ち向かう姿を描く。時間に歪みが生じ、すぐに年老いたり、姿を消すものが次々に出てくる。そして弓の修行をしていた千里の前に現れた謎の少女。まるで初恋のように彼女に惹かれる千里。やがて彼女こそが時空の片割れであり、長年一緒だった相棒と離れたために騒動が起こったとわかる。千里の双子の兄として生まれ、共工の跡取りとなった玄冥。第一巻では共工の手先として千里たちに立ち向かったが、第二巻では時輪に立ち向かうために、千里たちに味方する。
時間と空間という抽象的な存在が少年少女として登場。なかなか興味深い。道教や神仙の道をこういう形で見せられると、少しわかったような気もしてくる。

童形の英雄など作り事めいて馬鹿馬鹿しく思っていたが、第一巻の解説を読んで、浅はかだと知った。そうした目で見るとなかなか面白いし、興味深い。第二巻ではこうなったかもしれないという時間の分流で、成人した千里が現れて、驚いた。