イギリスの児童文学作家ネズビットは生活資金を得るために早い時期から文筆活動をしていたがほとんどが今は忘れられている。不幸な学校生活を振り返った回想記が少女向けの雑誌に連載されたときに、なぜかネズビット自身が当時のことを鮮やかに思いだし、自分の中に残っている子供を喜ばせるためにと児童小説を書きたくなった。こうして生まれた作品が本書であり、後に続編や短編集が書き継がれた。

この作品の三年後に出た『砂の妖精』とか、さらに後年に書かれたアーデンものといわれるファンタジーと違い、この作品は子どもたちの日常生活を描いたもので、正直退屈に思えたものの、最後がハッピーエンドになっていることがほっとさせる。

ロンドンのグリニッジ近くに住むバスタブル家。母親は数年前になくなり、父親と子供が六人住んでいる。以前は数人いたが今は女中が一人だけ。父の仕事がうまくいってなくて、経済的に困窮している様子。本来なら学校に通わなければならない子どもたちも今は学校を休んでいる。小遣いも最近はもらっていない。

母親がわりの長女ドラ、突飛なことを思い付いては隠しておけない長男オズワルド。算数が得意な次男ディッキー、双子の十歳アリスとノエル。末っ子がホレス。

話の始まりはオズワルドの思い付きから。財産がなくなったら宝探しにいくべきだと、いきなり宣言する。それを否定しかけたのは慎重なドラ。しかし他の兄弟が賛成したので、実行にうつすことになる。でも何をすればいいのか?
ドラの提案でみんながすべきことを各自考え、それを順番にやってみようということになる。

オズワルドは近所の丘の上にある昔おいはぎがでた場所で、黒覆面をして拳銃を持って金をとろうと。
アリスは占い杖を試そうと言う。金が埋まっている場所を見つけて掘ろうと。
ホレスは山賊をやろうと言う。
ノエルは自作の詩を本にして金を得ようか、お姫様を見つけて結婚しようか迷っている。
ディッキーは新聞広告に出ているもうけ話に乗りたいが、元手がない。
最後にドラは庭をただ掘り返してみようと言う。

どれも成功しそうもないことだが、真面目に取り組むことで、子どもたちは知り合いを作り、親切な人と出会い、ついには亡き母の親族であるインド帰りのおじさんに出会い、幸せをつかむ。まずはよかった。