ようやくこの作品が読めた。エイケンのダイドーシリーズで最初に知ったのがこれだったが、何度も借り直したものの、さいごまでよめなかった。

シリーズ第三作『ナンタケットの夜鳥』(まだ邦訳はない)の終わりで、ようやくイギリスに戻れることになったダイドー。イギリス海軍の新任の艦長ははじめ年若いダイドーに、女の子らしくないと厳しかった。
航海の途中で本国の指令を受けた艦長は軍艦を急遽南アメリカに進路変更。古代イギリスのアーサー王の死後、妃は家来と共に海をわたり、王が復活するまで待とうと、アンデス山脈に王国を築き、以後本国イギリスと友好関係を結んできた。その女王から救援の依頼があり、近くにいた艦長が赴くことになった。アマゾン川を遡り、山脈の中にある女王国を訪ねた艦長一行だが。
アーサー王が姿を没した湖こそ、王が復活するに必要だと女王は南米に持っていき、国内の山に囲まれた盆地に移していた。その湖がどうやら盗まれたよう。隣国のリオネッセ王の仕業。イギリスに留学していた王女の帰国に際して、女王が王女を誘拐したらしい。その報復と王女を取り戻すためにしたらしい。
艦長を人質にされて、ダイドーは王女の身代わりとして隣国に向かうことになる。その途中、艦長の部下の下士官が実はこの辺りの出身で、失われていた伝説の剣を発見。しかもアーサー王の生き返りだと言い出す。さらに岩の奥に閉じ込められていた王女を発見し救い出したダイドー。
千三百年を生き延びてきた女王の秘密は国民の少女たちを生け贄にして、魔法によりその骨を食べ続けて来たことだった。王女もそのために捕らわれた。

女王の策略で再び捕まった王女とダイドーを助け出そうと、復活したアーサー王が隣国の王と王女を引き連れて女王国にむかう。
危機一髪のダイドーは囚われていた艦長の空飛ぶ発明品により救われ、すべてが女王糾弾に赴いたとき、天候異変、火山の爆発と氷河の融解により、女王は哀れな最後を迎え、事件は片付く。あとはアーサー王に任せ、ダイドーと艦長一行は軍艦に戻り、帰国の途につく。

イギリスに戻ってからの話が、前に読んだ『かっこうの木』で語られることになるわけ。

奇想天外な設定で驚く。アーサー王伝説が南米にまで飛ぶとは。よみがえる王と待ち続けて千年の女王。それを支えた黒魔術と生け贄にされた少女たちの命。面白いとばかりは言えないな。