書店員ミステリーのシリーズ以来、好きな作家の新刊と言うことで、迷わずに借りたものの、少し雰囲気が違う作品。

二十歳の大学生晶良は地元山梨の大学で埋蔵金探しの部活をしている。彼の祖母には幼馴染みがいて、よく二人で会っていた。そんなときついていた孫同士で彼は伯斗と仲良くなった。五年生の時に祖母たちの会話を聞いたのが発端。祖母たちの友達で山奥出身の子は、埋蔵金伝説のある秘密の村の出身で、二人の祖母に村のありかを示す地図をくれたと。祖母に内緒で地図を見た二人は、夏休みに秘密の村六川村を探すために、山奥に入り込んだが、廃村を見つけただけで、遭難しかけたところを山男に助けられた。

二十歳になっても埋蔵金探しに夢中の晶良のもとに、長く音沙汰がなかった東京に住む伯斗が現れて、六川村を探しに出掛けると言う。心配になった晶良も同行して、再び秘密の村探しを始める。

ノンフィクションの出版社でバイトしていた伯斗が知り合ったチンピラ中島。振り込め詐欺グループの金を持ち逃げして、知り合いの男田中に預け、田中は故郷である六川村へ隠しに出掛けたと言う。その男を探しに行くと伯斗は言う。
中島が殺されたと聞いた伯斗は一旦東京に戻るが、詐欺グループに見つかり囚われて、六川村の居所を話すよう拷問を受ける。詐欺グループにはいくつかの派閥がある様子。

晶良は大学のクラブの先輩女子のおじさんで、山奥の診療所に勤める医師が、身元不明の遭難者を助けたと聞く。もしかして田中ではないかと、診療所に赴くと、医師はかつて小学生の時に助けてくれた、これまた埋蔵金探しをしていた山男。
田中らしき男は逃げ出した様子、跡を追う晶良と大学生仲間の吉井。さらに伯斗の先輩女子が行方不明の伯斗を気遣い、合流するが。どうも様子がおかしい。目当ては大金のようだ。

人跡まれな山奥で、秘密の村を探す晶良たち、預かった大金を隠しにいく田中、奪われた大金を取り戻すために現れた詐欺グループのメンバーたち。三者の駆け引きに、秘密の村のありかを示す武田信玄の家来穴山梅雪の残した稚拙な短歌。謎解きを絡めながらの冒険行の行方はいかに。
それなりに楽しめたものの、詐欺グループと言う現実的な犯罪と、埋蔵金探しのロマンとの兼ね合いが今一つ乗れない感じもした。