図書館で見つけた小路さんの新刊。片仮名文字が並ぶタイトルに目が止まる。

アパートに住む男を夕方に訪ねてきたのは、水商売風の三十路の女と十歳の少女。かわいい子。
片原修一の部屋かと確認してから中に入り、話し始める。

少女あすかの母親は昔、高校教師修一の生徒だった。つれてきた女アリサはあすかの母親凛子の親友で、二、三日熊本の養家に帰る彼女に娘を預かったと。しかし凛子が熊本で病に倒れたために、娘をつれてきてほしいと頼まれた。勤めていたキャバクラで偶然、凛子が慕っていた修一の居所を知ったので、あすかをつれていってもらうことにしたと。

そんなことで軽自動車により、北海道から熊本へのドライブ旅行が始まる。

そして男が実は修一本人ではなく、小学校以来の親友で、詐欺師だとわかる。法律事務所の調査員のバイトをしていて、世間の裏を知り、それを利用して悪いやつから金を騙しとる詐欺師。
いわれのないセクハラ事件で高校をやめて、フリースクールにいる親友に有り金差し出し、金欠の高之。

一方アリサこと由希は腐れ縁の男を追い出したものの、男に渡された宝くじが当たり、三千万もの現金を所持。男に追われると思い、これさいわいと熊本行きを考え付いた。

はじめは双方とも正体を隠していたが、互いのことを知り、打ち明ける。
凛子は養父に相続人として、娘あすかを差し出すように言われていた。実業家としては大成した養父だが、凛子には冷たかった。そんな男に娘を任せたくない。その気持ちがわかる高之と由希はなんとか修一と凛子を結びつけよう、養父を撃退しようと画策する。法律的には拒否できないが、相手に手を引かせる企ては詐欺師である高之の独壇場。最後熊本の病室で対決して、勝利を得る。

でも高之、由希、あすかの疑似家族のドライブ旅行が面白かった。互いに正体を隠してのやりとりが楽しく読めた。

人間って、外見や仕事だけでは判断できないものを秘めているんだな。二組の親友同士、高之と修一、由希と凛子。人は生まれたときに何かを置き忘れてくる。そしてそれをこの世で必死に追い求める。彼らにとっては肉親よりも親友だったのだと。

私は何を追い求めているのだろう?