静岡県清水南高校吹奏楽部の幼馴染みの千夏と春太のハルチカコンビが謎解きをするシリーズ最新の第四作。

三年生が引退して、部員数二十人あまりのこじんまりしたクラブ。五人で始まったクラブだが、吹奏楽部の甲子園と言われる普門館に出場するのを夢見るハルチカたちにとって、大編成の楽団を揃えるにはまだ半分にも満たない。

中学まではバレー部で地獄のしごきを受けていた反動で入部したはずが、気がついてみると夢に向かって中学時代以上に練習に励んでいるチカ。はじめたばかりのチカには自分の演奏に満足できない。このままでは仲間の足を引っ張ることにもなると悩んで、思い付いたのが、より高価な名器を手にすること。周囲の声にも耳を貸さずに、名器を求めて市内の楽器店を漁るチカが見つけた銀のフルート。それにまつわる物語と謎解きを描いた「チェリーニの祝宴」を第一とした四作で構成されている。第一作にはサブタイトルに、呪いの正体とあり、以下音楽暗号、学園密室?、人物消失とある。謎解きのテーマが示されている。

二作目の「ヴァルプルギスの夜」では音楽系クラブのOBと称する音大生からメールで出題された音楽暗号の謎をハルが見事に解明。その結果は、警察に任された。

学校に残された旧校舎が朝には出入り口や窓がすべてあけはなされていた。逆密室状態で発見された旧校舎。使用してる札付きのクラブが鍵を勝手に変えて、誰にも開けられないはずなのに。ハルが解き明かした謎はいかに。前夜三年生を送る会をした部員たち全員が共謀して、窓などを開け放しにした。なんのために?
呪いのフルートをチカが一時的に借りて知り合った楽器店の主にはフルートを奏する中学生の娘あゆがいた。彼女が選んだ曲、惑星カロンにまつわる謎解きが、最後の話。過去に舞台を降りて仲間に迷惑をかけた顧問の草壁先生の昔馴染み、あゆが選んだ曲の作曲者とその息子。ネット上に公開されたブログやメールから合成された人のデジタルクローン、それを作ろうとする怪しげな男たちと依頼者。彼らがついに同じ場所に集ったときに謎は明らかになる。惑星になり得なかった衛生カロン、大事な人のコピーになりえなかったデジタルクローン。正直、後者ははっきりとはわからなかったが。人は死んだらおしまいだ、人は理性だけでは生きられない、そう理解した。