イギリスのファンタジー作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表作と言えば長編ファンタジーだが、短編の傑作も書いている。すでに邦訳のある作品以外の短編を、アメリカで出た二つの短編集から抜き出して編まれた日本オリジナルの短編集。1975年から2003年の三十年間にわたり書かれた十八編の作品のなかには、現在から見ると時代遅れに見える部分もあるが、やはり読んで面白い。

分野はファンタジーに限らず、SF、ホラー、冒険や魔法、さらには少女時代を回想したエッセイなど、多様な作品が納められている。

主人公も様々で面白い。お父さんの変わり者の友達が居座った時に家族にかわってこらしめてくれたのはなんと生命力を持った家具だった。あるいは竜や人を操る力を持つ少女、魔法使いを飼っている不思議なネコ、少女が空想で産み出した二センチの勇士、人型のお手伝いロボット、チョコを食べるステッキかと思っていたら、ステッキの中で羽化を待っていた妖精。手品セットの水晶玉にしこまれていた魔法の水で人間に変身して周囲を混乱に巻き込むぼろ椅子。太陽に恋して、太陽に愛されているように見える樹木になろうとする少女。

なかにはダイアナ流の錯綜した話の展開についていけずに、分かりにくい作品もあったが、やはり読み終えると、面白かったと言える作品が多い。
登場人物のなかにはいかにも憎たらしい人物も出てくるが、そうした人物はダイアナがひどい目に遭わされた実際にいた人物をモデルにしたものもあるようだ。そうした人物をカリカチュアして登場させて、笑い飛ばすことで、ダイアナ流の復讐をしたのかもしれない。

子連れで再婚した両親が留守の間、二人の子供の面倒を見るために呼ばれた四人のおばあさんの話は、個性的な四人のおばあさんが面白かった。

でもやはり、短編ではあっけない。やはり長編で奇想天外な人物や話の展開につきあうほうがいいなと思った。長編の大部分は読んだが、未読の作品がいくつかある。今度読んでみようか。