主人公は田嶋春、私大法学部の女子大生。しかし、変わってる。黙っていれば結構かわいい子なのに。正義感にあふれ、曲がったこと、法に触れることは我慢できないだけでなく、誰にたいしても正面からそれをぶつける。空気読めない子。
だから当然まわりのものには嫌われたり、敬遠されたりして、友達がいない。

偶然入ったイベント系サークルでも同様に好かれてはいないながらも、表だって嫌われないことをいいことに、やめないでいる。今までサークル活動や仲間に縁がなかったために、かえってはじめて仲間に受け入れられたような気になっているのかもしれない。
サークルの新勧コンパでは、二十歳になってないのに酒を飲むのは法律違反だと騒ぎ立て、あげくに年齢確認だと、出席者に学生手帳を出させて、みんなの前で読み上げる。なかには浪人を隠しているものもいたのに。
女好きで新入生をものにしようとする先輩の思いを知ってか知らずにか、酒に酔った女子学生を心配してまとわりついて邪魔をしたり。

タージの何気ない言葉に、普通のものは疑心暗鬼からその真意を誤解したり取り越し苦労したり。しかし、タージの言葉や行いには裏はない。一見天然ボケのようでいて、観察力に優れ、記憶力のあるタージは、人の秘密に気づくのも鋭い。それでいて、それをたてに脅す気などない。そんな彼女と関わることで、裏表がない彼女に気づけば、好きになることはないにしても、次第に親近感を持つものや、毛嫌いするのはよくないと思うものも出てくる。

そんな通称タージに被害を受けたものを語り手とした五章でなる。第一章では同じサークルの男子菅野、第二章では菅野が気になっていた河本が不倫している生協職員深井が語り手。第三章では河本千晶が友達になった高橋奏が語り手となる。第四章ではサークルの新会長宮崎が、タージの突き抜けた思考と、自分が幸せになることで世界平和に貢献するという気持ちを知り、調整役でしかない自分より、タージこそ会長にふさわしいのではないかと思う。第五章の語り手はタージが秘めた思いを抱く男性。バイト先の先輩でバツイチ。しかも観覧車に盗聴機をしかけて、客の話を聞くのを楽しみにしている変なやつ。そんな男に恋して、はじめてのキスを狙うタージ。

自分の回りにいたら敬遠したいが、そうでないならなんか応援したくなる不思議な女の子だな、タージって。