思った以上に、よい作品だった。
家出した母を追い、祖父母と車で、アメリカを横断する旅をする少女の物語。

十三歳のサラは、慣れ親しんでいたケンタッキー北部の農場から、北のオハイオ州ユークリッドに引っ越す。家出した母が戻らないことがわかり、父は農場を閉め、知り合いの女性マーガレットが住む町にひっこすことを強引にすすめる。納屋も川も水遊びの入り江も動物もいなくて、申し訳程度の庭でびっしりくっつきあった家が並ぶ町にはじめは慣れなかった。食事の世話をしてくれるマーガレットにもまともに口を聞こうとしないサラ。

そんなとき祖父母が母がいった町へつれていってやると言い出す。ちょうど一週間後には母の誕生日。名所に立ち寄りながらでも十分いける。母に会いたいが怖がっている孫娘を連れていってくれる。マーガレットと二人きりになりたい父にも都合がいい。年老いた祖父母だけでは心配な父が娘を目つけ役にしたのかも。

こうしてはじまった北米大陸横断の三千キロのドライブ。
退屈な旅を楽しむために、祖父母はサラの話を聞きたがる。サラは親友となった近所に住むフィービーとその家族にまつわる話をする。

フィービーの母が家出をし、それを一人騒ぎ立てるフィービー。サラの家を訪れた怪しげな若者。二人は勝手に変質者と決めつける。サラの玄関に知らぬまに置かれている格言めいた言葉がかかれた手紙。二人は変質者の仕業だと決めつける。マーガレットの主人が知らぬまにいなくなったことから、彼女に殺されたと邪推する二人。

祖父母にフィービーのことを話すことで、かつての自分の言葉や態度をあらためて客観的に見直すようになるサラ。他人の立場にたって考えてみれば、新たな発見があることに気付き、サラは少しづつ成長していく。
考えたこともなかった母の思いにも気づいていくサラ。母の家出のきっかけは赤ん坊の死産。山で遭難したサラを身重の母が担いで助けたことが原因だったか。善良のかたまりのような父にたいして、精神的に追い詰められたか、母は西海岸近くのアイダホ州ルーイストンに住むいとこを訪ねて、長距離のバス旅行をし、名所に立ち寄っては絵はがきを送ってくれた。サラと祖父母の旅はその母の旅をなぞる旅でもあった。ラストになって、隠されていた秘密が明かになり、感動的な展開になる。そういうことだったのかと、納得できる。涙が出そうな感動作。