一見、心暖まる家族の物語に見えるのに、章の始めに引用されている新聞記事が不気味だ。一家皆殺し殺人事件を報じる。九月十日深夜、台風の夜に住宅街で、一家が刃物で殺傷されて発見される。仲がよくて近所でも評判な幸せな家族。
そのあとに始まるある家族の物語は、まさにその被害にあった家族のように思えて、読み進むにつれ、家族に慣れ、好きになると裏腹に、その結末がと思うと、最後まで読むのが怖い気もしてきて。
少し認知症が始まった祖父源一郎の自宅には、陽気でぽっちゃりの母親昭子、大学生でイケメンの長男友広、短大生の長女美緒、十歳で生意気で甘えたがりの次女桃子、三毛猫の龍之介の家族がすんでいる。庭にはザクロの木がある。ザクロの種が多いことから家族繁栄の象徴と言われる。
ある夏休の家族の様子が描かれ、身近に起こった日常の謎風の事件と解決が、家族の誰かにより明かされる。近所の商店街の夏祭り用につくられたガラスのオブジェの破壊、兄のバイト先での家族写真撮影時に持ち上がった若い恋人たちの逃走劇、桃子が飼いたがっていた子犬が赤ん坊にすりかわる事件、箱根への家族旅行で起きた風呂の覗き魔事件、家族の前に現れた男の告発。
祖母の話は祖父の口からよく出るのに、なぜか父親の話は一切でない。桃子と上の子の歳は一回り違う。
そして最後に明らかになったのは、この家族は偽物だと言う事実。血の繋がりもなく、赤の他人が一緒に暮らしていた。痴ほう症の祖父の妹が自宅を乗っ取られていると、弁護士に相談していた。家族の正体を突き止め、知り合ったきっかけまでつかんでから、乗り込んできた弁護士と祖父の妹。
章始めに引用された新聞記事は、美緒が所持していたもの。十年前のその事件でただ一人生き残ったのが美緒だった。
市民対象の家族がテーマの講演会で帰りそびれた独り暮らしの五人が話をするようになり、やがて祖父の家で疑似家族を演ずるようになった。
事実が知られ、家族はばらばらに。祖父は妻と娘、腹の中の孫を失い住み慣れた家を出たくなくて、親族に疎遠。孤児院育ちの兄、母親は実はニューハーフ。美緒は一家皆殺しの生き残り、桃子は若い母と恋人にネグレクトされていた。
発覚後、祖父はまた独り暮らしだが、妹たちが時々来る。桃子は母方の祖父母に引き取られた。そして久しぶりに再会した美緒と友広は新たな家族になることになる。結末がよくてよかった。
そのあとに始まるある家族の物語は、まさにその被害にあった家族のように思えて、読み進むにつれ、家族に慣れ、好きになると裏腹に、その結末がと思うと、最後まで読むのが怖い気もしてきて。
少し認知症が始まった祖父源一郎の自宅には、陽気でぽっちゃりの母親昭子、大学生でイケメンの長男友広、短大生の長女美緒、十歳で生意気で甘えたがりの次女桃子、三毛猫の龍之介の家族がすんでいる。庭にはザクロの木がある。ザクロの種が多いことから家族繁栄の象徴と言われる。
ある夏休の家族の様子が描かれ、身近に起こった日常の謎風の事件と解決が、家族の誰かにより明かされる。近所の商店街の夏祭り用につくられたガラスのオブジェの破壊、兄のバイト先での家族写真撮影時に持ち上がった若い恋人たちの逃走劇、桃子が飼いたがっていた子犬が赤ん坊にすりかわる事件、箱根への家族旅行で起きた風呂の覗き魔事件、家族の前に現れた男の告発。
祖母の話は祖父の口からよく出るのに、なぜか父親の話は一切でない。桃子と上の子の歳は一回り違う。
そして最後に明らかになったのは、この家族は偽物だと言う事実。血の繋がりもなく、赤の他人が一緒に暮らしていた。痴ほう症の祖父の妹が自宅を乗っ取られていると、弁護士に相談していた。家族の正体を突き止め、知り合ったきっかけまでつかんでから、乗り込んできた弁護士と祖父の妹。
章始めに引用された新聞記事は、美緒が所持していたもの。十年前のその事件でただ一人生き残ったのが美緒だった。
市民対象の家族がテーマの講演会で帰りそびれた独り暮らしの五人が話をするようになり、やがて祖父の家で疑似家族を演ずるようになった。
事実が知られ、家族はばらばらに。祖父は妻と娘、腹の中の孫を失い住み慣れた家を出たくなくて、親族に疎遠。孤児院育ちの兄、母親は実はニューハーフ。美緒は一家皆殺しの生き残り、桃子は若い母と恋人にネグレクトされていた。
発覚後、祖父はまた独り暮らしだが、妹たちが時々来る。桃子は母方の祖父母に引き取られた。そして久しぶりに再会した美緒と友広は新たな家族になることになる。結末がよくてよかった。