なんともはや破天荒な探偵の痛快なミステリー。馬鹿馬鹿しいけど、超能力で悪人をバッタバッタやっつけて問題を解決するのを読むのは快感だな。

大手不動産会社に就職した若宮恵美子が配属されたのは、事故死した前社長の息子雅弘二十歳の世話係。難病のために十年寝たきり状態の雅弘は役員待遇のため、会社と連絡したり決済することもある。その事務と共に、彼の話し相手になってほしいと、頼まれた恵美子ははじめは渋っていたが、すでに一年ほど彼のもとに通い、心も通じあっている。彼の病室には古いガラス戸棚があり、なかに犬太と呼ばれる、いろんな布で繕われた古い犬のぬいぐるみ。それだけが雅弘の心の拠り所らしい。

ある日、恵美子は人事異動を告げられる。雅弘を長とした三人だけのクレイム処理の部署。現社長は雅弘の叔父、なんとか雅弘を会社から追い出そうと画策して設けた。素人の恵美子に処理能力はないし、上司は社長派で問題物件を彼女に引き渡すだけ。失敗したら責任者の雅弘を首にしようとしている。

雅弘のために逃げ出したくないと、現場へ向かったものの、当然困難な問題物件で途方にくれる恵美子の前に現れた男。犬頭という探偵で、雅弘のために一肌脱ぎたいと同行。奇抜な服装は縫い繕わされたぬいぐるみみたいだし、神のような超能力の持ち主で、問題に絡んで現れる悪人たちをたちどころに倒したり、金縛りにしたりと、破天荒な行動により、問題の根を暴き出し、解決の糸口を示す。恵美子はただ報告書にまとめ、会社に提出すればいい。

犬の化身か、ぬいぐるみの化身か判然とはしないが、一見破壊してばかりで乱暴そうな犬頭だが、推理力にも優れ、問題の隠された原因を突き止める。

五つのクレイム、問題物件を解決したあとに、雅弘は治療のために渡米する。そのあとに恵美子にされた次の物件はなんとアメリカの幽霊屋敷。しかも当然ながら犬頭も登場するところで終わる。

さきほど調べてみると、続編が数日後に発売されるとか。舞台は当然アメリカの幽霊屋敷。つまり続きが読めるわけだが。すぐには手に入らないだろうな。

警視庁動植物係の二作目で登場した反社会的な新興宗教ギヤマンの鐘が絡む物件もあり、同じ著者の作品だから当然だが、なんか親近感を覚える。