長いこと懸案の作品をようやく読了。北陸の城下町金沢出身の松尾さんがその金沢を舞台にした不可思議なミステリー連作。
大学時代の四年をこの金沢で過ごした私も、地名や有名な作家の名前がもじって描かれているのも一興だ。金沢が香坂、兼六園が辰巳公園、犀川が鴇川など、もじり方も想像できる。
香坂市中央署の刑事木崎が幽霊アパートの盗難事件に関わってから、次々と一見超常現象かと思える事件などに関わっていく。そして最後にすべての事件を通じて、最初に出会った幽霊が彼を導いていたように思えてくる。つまりはその幽霊は彼そのものの分身であるかのような思いがする。あるいは事件すべてが夢幻であったような思いもする、一種幻想的なフィナーレになっていて、少し戸惑う。
母の死後バラバラになった家族を離れて、アパートで独り暮らしをしていた若い女性が、交通事故により死亡。その後部屋に彼女の姿が見られるようになり、気味悪がって、住人は出ていき、大家も手放したアパートには死んだ娘の父と弟、妹が住んでいた。一人入った住人が、高価な宝石を盗まれた。アパートの出入り口には近所の人がいて、家族三人と被害者女性、そして幽霊の娘以外、容疑者はいないし、家捜ししても宝石は見つからない。幽霊は部屋の窓辺に座って、ずっと外を眺めている。そんな状況に出くわしたベテラン刑事木崎が導き出したは?
刑事部長に個人的に頼まれた。親戚の女性は子どもの頃から予知夢ができ、旦那を殺す夢を見たと不安になっている。どうにかしてほしいと頼まれ、過去の予知を調べ始めた木崎。
三作目は生き霊。容疑者は肉体を離れてさまよう生き霊で、目撃されたのは彼自身ではない。では真犯人は?
子供が念動力を使うのを偶然見かけた木崎は、その子の家で起こった密室殺人の犯人がその子ではないかと疑う。
描かれた超常現象はどれも嘘ではなかったが、事件の中心にはなかった。事件の核心にあるのは、関わった人々の心の底にある切なさや悲しさ、あるいは寂しさややるせなさ。主人公の木崎刑事自身も、最愛の妻をなくし、息子が一人立ちして、独り暮らし。それらの感情を心に秘めているがゆえに、他人のそれに共鳴し、ひたひたと彼の心を満たしていく。その結末が、最後の話として描かれたのだろう。
なかなかよかった。また松尾作品を読んでみたい
大学時代の四年をこの金沢で過ごした私も、地名や有名な作家の名前がもじって描かれているのも一興だ。金沢が香坂、兼六園が辰巳公園、犀川が鴇川など、もじり方も想像できる。
香坂市中央署の刑事木崎が幽霊アパートの盗難事件に関わってから、次々と一見超常現象かと思える事件などに関わっていく。そして最後にすべての事件を通じて、最初に出会った幽霊が彼を導いていたように思えてくる。つまりはその幽霊は彼そのものの分身であるかのような思いがする。あるいは事件すべてが夢幻であったような思いもする、一種幻想的なフィナーレになっていて、少し戸惑う。
母の死後バラバラになった家族を離れて、アパートで独り暮らしをしていた若い女性が、交通事故により死亡。その後部屋に彼女の姿が見られるようになり、気味悪がって、住人は出ていき、大家も手放したアパートには死んだ娘の父と弟、妹が住んでいた。一人入った住人が、高価な宝石を盗まれた。アパートの出入り口には近所の人がいて、家族三人と被害者女性、そして幽霊の娘以外、容疑者はいないし、家捜ししても宝石は見つからない。幽霊は部屋の窓辺に座って、ずっと外を眺めている。そんな状況に出くわしたベテラン刑事木崎が導き出したは?
刑事部長に個人的に頼まれた。親戚の女性は子どもの頃から予知夢ができ、旦那を殺す夢を見たと不安になっている。どうにかしてほしいと頼まれ、過去の予知を調べ始めた木崎。
三作目は生き霊。容疑者は肉体を離れてさまよう生き霊で、目撃されたのは彼自身ではない。では真犯人は?
子供が念動力を使うのを偶然見かけた木崎は、その子の家で起こった密室殺人の犯人がその子ではないかと疑う。
描かれた超常現象はどれも嘘ではなかったが、事件の中心にはなかった。事件の核心にあるのは、関わった人々の心の底にある切なさや悲しさ、あるいは寂しさややるせなさ。主人公の木崎刑事自身も、最愛の妻をなくし、息子が一人立ちして、独り暮らし。それらの感情を心に秘めているがゆえに、他人のそれに共鳴し、ひたひたと彼の心を満たしていく。その結末が、最後の話として描かれたのだろう。
なかなかよかった。また松尾作品を読んでみたい