人の心の動きを香りとして感じる能力を持つ女子高二年の香乃。幼い頃にはそれを口にするために、両親には嘘つきと言われ、中学時代に盗みの犯人を名指ししたために、両親に疎まれてしまう。鎌倉で香房を開く祖父母のもとに預けられた。
祖父亡きあと、店にはバイトのイケメン大学生雪弥がいる。彼は少年時代に店前で香乃に話しかけられたのが縁で、祖父母にも可愛がられた家族同様の存在。

そんな店に来た客や出掛けていった屋敷で、香りをヒントに謎解きをする話と、二人が互いを理解し近づいていく様子を描いた心暖まる物語。

香を買った老婦人が店先で立ち尽くす。認知症のために家を忘れてしまった。気持ちを落ち着かせようと香を聞かせる二人。折しも帰ってきた祖母により、祖母の旧友とわかる。そんな老婦人が亡き夫からもらった大切な手紙をなくして落ち込んでいる。何とかしたいと孫息子に言われた二人は…。

祖父の旧友である資産家の老人が遺言で譲渡してくれた貴重な香木。祖母の代わりに訪れた二人が見たものは、息子である三兄弟のわだかまり。香りを縁にしてそれを解きほぐす二人。

密かに思いを寄せる雪弥をもっと知りたいと、大学の見学会で雪弥の大学のサークルを訪れた香乃は、店では見られない意外な姿を目撃。しかも彼と付き合っていた女性がいる。雪弥の違う面を知った香乃の切ない思いを描いた話。

いきなり現れた妹。親友がいじめにあい、鎌倉に転校。そして何かヤバイバイトをしている様子。会いにいっても心を開かない親友。相談を受けた二人。
風邪気味の香乃が偶然あった妹の親友に同行し、バイトに参加して危険な目に遇いそうになる。連絡を受けた雪弥はサークル仲間に助けを求めて、香乃と妹の親友を必死に探し求め、危機一髪で保護する。

普段は自信無げで、人と話もできない香乃だが、いざとなると肝っ玉が座り、予想外の行動をする。そんな彼女を暖かく見守っている雪弥。
私生児として生まれ、育てられた母の実家からいち早く独立したいと、勉学にインターンに向きになっていた雪弥。不幸な少年時代に唯一の友だった飼い犬。その死に悲しみに包まれているときに、話しかけた香乃。その祖父母も優しく迎えてくれた香房で過ごすことで、雪弥は生きることができた。生き方を決めることができた。それを可能にしたのが香乃の存在。