なんとも奇妙な話だが、ちょっと心が暖かくなる話。

無職宿無しの青年亀谷、ネットカフェでいい席をとろうと急いでいるときに、見かけた情景。薄暗い路地で若い男がケバい女に膝げりを受けている。近づくと、カツアゲされている。無視できずに、その男をつれて逃げ出した。男は記憶喪失だという。名前も住まいも覚えてないが、日常生活については自然にできる。そいつはカラスにもよく襲われる。

そんなときに前にヤバイ仕事を回してくれた堀口から連絡が入る。またヤバイ仕事の依頼。どうやら振り込め詐欺の預金の引き出しらしい。防犯カメラに写されるのはまずいと、知り合ったトロい男、仮名カブリエルに頼む。それが失敗のもと。預かったクレジットカードを渡し、暗証番号を教えたのに、三度も打ち間違えて、カードも出てこなくなる。堀口からの電話を無視して逃げ出す二人。
そんな彼らに話しかけてきた女性。宿無しなら、うちに来ないかと。猫の森という八王子にある、その女性シメ子の家。宿無しの男を数人泊めてやっている。

ガブリエルがいないときに亀谷に話しかけてきた、カツアゲの女。自分は悪魔で、ガブリエルは元天使だという。カラスは悪魔の使いなんだと。

シメ子の元で暮らし始めた亀谷とガブリエル。やくざっぽい大柄なマロさん、眼鏡をかけてポッチャリのオク、色白のイケメン、ミチヤ、そしてシメ子。奇妙な共同生活が始まり、次第に打ち解けていく。まるで家族のようになったころに、変化が訪れる。

ミチヤがある言葉を発した途端に、体が薄らいできて消えてしまう。しかも彼のいた証しも消えてしまう。

悪魔と名乗る女によれば三人の男は呪われた魂の人間で、実は本来は別の平行世界の住人。それぞれ本来の世界では殺人事件を犯した重罪人。天使の力で、この世界に呼び集められ、別の人生を生きているのだと。それが自分よりも他人の幸せを祈るような言葉を発すると、姿も存在もこの世から消えて、元の世界に戻るのだと。
消えたミチヤが殺人犯だとわかり動揺する亀谷たち。悪魔の話を信じないでいたのに、次第に引き込まれていく。ガブリエルは彼の能力を四等分して、殺人犯の三人とバラバラ殺人の被害者であるシメ子を、この世にとどめるために使っているため、天使の力がなく、記憶もなくしている。
事情を知った亀谷はシメ子をこの世にとどめておくためには、自分も消えて、天使の力を強くした方がいいと思い、元の世界に戻る。