久しぶりに読んだが、やはり小路さんの作品はいい。悪人がいない商店街の人々、あり得ないと思いつつも、ホッとする。

高校に入り、いじめを受けためいは、結局中退して、従姉妹の花乃子さんのところで住み込みで働くことにした。お母さんの姉である伯母さん夫婦が営む花咲小路にある花屋さん。十年前に交通事故で伯母夫婦が急死し、当時十九歳だった花乃子さんが、十五歳の双子の弟である柾と柊の面倒を見ながら、店を切り盛りした。当時七歳のめいは、花が好きではじめて伯母さんの花屋へ行ったときには興奮したとか。伯母夫婦の葬儀では、従姉妹の優しさしか覚えていない。

当面は花屋を手伝いながら、慣れてきたら、高校卒業資格を取ろうと思うめい。

美人の花乃子、双子のイケメンながら性格の違う柾と柊。やがて、彼らにも秘めた思いがあることを知る。伯母夫婦の事故の時、運転していた信哉は、責任はないにも関わらず、自責の念から町外れの山の上にある寺に修行で入ってしまい、恋人だった花乃子さんとの関係が、あいまいのまま十年たつ。
引っ込み思案の柊と、レストランのおとなしい娘美海ては互いを好いているのは見え見えなのに、どちらも言い出せず、周囲はやきもきしている。

花屋の仕事を覚え、その大変さとすばらしさを知るようになるめい。さらに花乃子さんの不思議な能力にも気づく。お客さんにより、何かの問題を感じる場合があり、おせっかいをして、その問題を調べたり、なんとかしようとする。その協力者が美術講師を表の稼業にして、裏で探偵まがいのことをするミケさん。

地元の女学校に長年勤めた先生を囲む会を企画した卒業生から頼まれた式に飾る花と飾り付けの注文。そこに恨みのようなものを嗅ぎ付けた花乃子さん。商店街の食堂のおばさんが卒業生だとわかり、そこから過去のしがらみの一端が明らかになってくる。そして商店街に住むイギリス人の老紳士セイさんの眼力により、しがらみの正体が明らかになる。しかし、花乃子たちにできるのは、花言葉に託して花を贈り、式が無事に済むことを祈るばかり。

優柔不断の柊と美海を見合いさせて、一気に結婚まで持ち込もうと考えた花乃子さんやめい。柊に話すの任された柾は、密かに何かを画策している様子。最後に明らかになったのは、柾の画策が二組の結婚話を一気にまとめてしまう。

安心して読めて、ほっこりできる話。

東京下町ワゴンにも通じる作品で、よかった。