はじめての作家だが、図書館で名前だけは見ている。ミステリー作家のようだが。少し登場人物が捻られているような感じを持っていた。

恋した相手の正体をめぐる謎と、人ではない存在への恋愛模様を描いた六編の短編集。

女子大生が大学のエレベーターで出会ったイケメンはビオラのケースを抱え、屋上へ行き、黒い筒状のものを取り出していた。誰かを狙撃する殺し屋か?なんと恋を取り持つ天使。

謎の女子転校生、誰にもそっけない。しかし、その言葉には聞き覚えがある。何年も前に両親と共に過ごした山の別荘。餌のない釣糸を垂らしていた彼が知り合った少女に似ている。冷たい体の彼女は?

幼馴染みの恋人を病でなくし、いきる希望をなくした弓子は再起を目指し、田舎の旅館でバイトすることにした。そこで知り合った双子はなんと枕返しの妖怪だった。

売れない漫画家のマンションに奇妙な変死体が。不気味なものを見て死ぬ。それは幼いころに祖父の田舎で見たあれか?それを見て兄は死んだが、彼は仲良くなってしまった。今も近くにいるのか?別れを告げると、妻がいなくなる。

殺人現場に残されたバラの鉢植え。植物でも電位差を利用して話すことができる?殺害現場を見せたり、返事をするバラを持ち帰り世話をする警部。その証言により真犯人は見つかったが鉢も破壊されてしまう。折れたバラの茎を添え木して生き返らせようとする警部。

母と暮らすネコの私は人気のない森の中の洋館で、異常を見つける。窓が内側から封鎖されたり、ピアノの音色が聞こえる。そして出会った青年が気になる私。昔の記憶を失った私。目覚めたときに首にしていたお守り。それが決め手になる。音大を目指す青年ピアニストは十年前に可愛がっていた子猫を捨てることになった。絶望した子猫は死の境をさ迷い記憶をなくした。互いを思い出した二人は新たな恋の始まりを迎える。

人ではない存在が登場するが、ホラーではない。見かけは普通の人、その正体がわかったところで覚めない恋。
なかなか興味深い話だった。