サブタイトルに、今宵、謎解きバー「三号館」へ、とある。

一浪して京大法学部一回生の遠近は、中学高校一貫校で一緒で、現役で京大に入った友人東横に誘われるままに、京都市内を散策するだけのクラブ賀茂川乱歩に入部した。会長は医学部二回生の大溝。金持ちの息子でハンサム。副会長は文学部二回生の千宮寺さん。和服の似合う美人で大会社社長のお嬢様。

新入生の青河はボブカットでかわいい理学部一回生。聡明さと危うさを同居させた不思議な女の子。遠近はそんな彼女が気になっているのだが、男子校に居たため女性に不馴れで、いまだに話ができない。

そんな彼らがクラブの散策中に出くわす謎、不可解な出来事を解決する不思議なバーがあるという伝説がある。
謎をもつ者だけにしか現れない店で、決まった場所があるわけでもなく、構内のあちこちに出没する。そんな不思議な店に遠近は入ることができた。店主は蒼馬美希と名乗る三十路の美人。客を観察するだけで、その正体を推理してしまう。しかもオリジナルのカクテルをつくり飲ませてくれる。それを飲むとなぜかもつれていた謎が解きほぐされ、遠近にも解決できてしまう。お代は解くに値する謎だけでいい。

結局、遠近は都合五回この店にいくことができ、店の最後と店主の正体に気づくことになる。大学が経済的な理由で、学生の自由を締め付けようとしてきた状況に反対する一派、三合会なるものがかつてあった。その流れを組む活動だったのか。
最初の謎により会長の二股恋愛が明かになり、恋人だった副会長とは別れ、会からも抜けた。副会長だった千宮寺が会長になり、東横が副になり、さらに恋人にもなる。そのお陰で、なにかと遠近と青河の仲を取り持とうと画策してはくれるが、遠近には少し迷惑。自分でけりをつけたいと思いながらも、できない。少し情けないが、正直で真面目な遠近は憎めない。三号館に出入りすることで、推理力に磨きがかかり、ついにゼミの教授の正体をつかみ、店主の正体に気づく。