九州福岡出身で、武蔵野獣医大学に入学した翔だが、本来は医学部を目指していた。一浪して再挑戦してみたがすべて落ち、ここだけに受かった。地方公務員の父は二浪までは認めず、入学。勉強にも身が入らず、友達もいない。半ばひまつぶしにと、猫の世話をするだけのバイト募集につられて訪れた虹猫喫茶店。三十くらいの宝塚の男役のような美人店主サヨリ。それよりも客の姿はなく、やたら猫だらけなのに驚く。ネットトレードで稼いでいて、喫茶店で生活してるわけでもない。猫が好きで、捨て猫などを世話して、里親を見つけるための展示場だという。
いきなり言いつけられた仕事は、重い猫砂を持って、指定された家に行くこと。そこにいる猫のえさやりと砂の交換が仕事だという。
派遣先には四十匹近い猫がいるのに、東丸というおばさんは掃除もえさやりもしていないから、惨憺たる有り様。しかもボケているようだ。捨て猫を拾ったり、子供が生まれたりでこの数になり、猫屋敷と呼ばれてる。猫のために強引に避妊手術をしようとしたサヨリさんは嫌われて、中には入れない。

東丸さんには息子がいるらしく、それに似た男なら抵抗なく家に入れるのだと。そこで翔の出番となった。

やがて、ボケた振りをしていただけとわかるし、自分で世話もするようになるし、里親探しの手伝いもしてくれるようになる。

店に出入りする人々が描かれた作品と言っていいのか。店には毎日のように美青年が来ていて、ある猫を可愛がる。彼、ヒカルは高三で、サヨリさんの孫になると、サヨリさんに気がある出入りの獣医相田先生は言う。サヨリは、ヒカルの祖父の後妻だった、と。

惚れた弱味で、里親が見つかると、車を出して届けるのも相田先生。サヨリさんはほとんど店を出たことがないらしい。

里親探しのいくつかのやり取りが語られたり、ボランティアで野良猫に強制的に避妊手術をさせている伊澤さんとサヨリさんの対立。あるいはヒカルの秘密の体質、サヨリさんの生い立ちなど、終盤には明らかになる。

最初は猫にそれほど興味もなかった翔だが、猫の世話をし、猫を介して店に出入りの人々と関わっていくことで、猫への愛情も生まれ、獣医になることさえ真剣に考えるようになる。

飼い主に愛されて亡くなった猫は、虹の橋のたもとで主が来るのを待っているのだと、サヨリさんは言う。それが店名の由来。すべての猫にそんな主を見つけてやるのがサヨリさんの願いだとか。