少年クリストファーはある夜、近所の犬が庭園用のフォークを串刺しにされて殺されているのを発見する。仲良しで好きな犬だったので、フォークを引き抜き、抱き上げたところを飼い主に発見される。警官が呼ばれ、辺りが騒がしくなり、思わず耳を塞いで地面に丸くなるクリストファー。警官の質問に答えず腕を掴まれたとき、思わず殴り返してしまい、緊急逮捕され、警察署に連れていかれる。あとから来た父親により解放された。

クリストファーは特異な脳を持つ少年だった。自閉症の一種でアスベルガー症候群と呼ばれる。普通の日常生活に不向きな行動をすると共に、特別高い能力も持つ。クリストファーは数学や物理では天才的な能力がある。しかし一方、人の顔の表情が読めないため、会話するときも論理的な推論に基づいて話す。回りの世界を情景として一瞬に把握し、記憶できる。だから人混みなど大量の情報が溢れる場所にはいられない。見知らぬ場所には行けず、慣れ親しんだ近所でしか行動できない。
彼が通う養護学校の先生に言われて本を書くことにしたクリストファーは、大好きなホームズの探偵小説を真似て、犬の殺害者を探偵して、その過程を本にしようとした。

見慣れぬ人と話すのが苦手なのに、近所の人に話を聞こうとした。それを一緒に暮らす父親が止める。他人事に首を突っ込むなと。さらに書きためた本まで取り上げられてしまう。

父の留守にその本を探していて、見つけたのが彼宛の母からの手紙。心臓発作で亡くなったはずの母が今も生きていて、ロンドンに住んでいる。隠していたことを知られた父は意外なことを告白する。母が一緒に逃げた男、その妻にしばらくは世話になったが、口論がもとで、その妻の大事にしていた犬を殺したと。謝罪する父親が信じられず、家出したクリストファーは、母の手紙の住所を当てに、単身ロンドンに向かう。父親のカードを持ち出したものの、銀行の場所も駅の場所もわからない。警官により、駅までたどり着いても切符の買い方も知らない。ようやく乗った電車内は人が溢れ、じっと閉じ籠るしかない。父の知らせで警官が保護に来たのを掻い潜り、なんと母親のもとにたどり着く。

もとはと言えば、異常な彼の生活が、母の精神を荒立たせ、不倫に走らせた。母のもとに戻りながらも、父には会いたくないと言いつつ、学校で受ける上級試験は受けたいと言うクリストファーのわがまま。結局、母は男と別れ、父とも別れ、クリストファーと暮らすことに