今夜も頑張って、三百頁までたどりついたが、まだ百八十頁残っている。最後がどうなるか気になり、拾い読み。めまいを覚えるようになり、重い病の恐れもあり、帰国し検査入院するところで終わっている。それならこれで終わりにしてもいいか?

スイスのギムナジウムで古典文献学の教師をしているグレゴリウス五十七歳。ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語に精通し、十人以上の生徒と同時にチェスを指し負け知らず。同僚にも生徒にも好かれ、尊敬される人物。

ある雨の朝、学校近くの橋から身を投げるかと思えた女性を目撃し声をかける。ポルトガル語を話すという、その言葉になぜか魅了される。

馴染みの書店で見つけたポルトガル語の本。店主が訳してくれた冒頭の短い文章。それになぜか心が動く。辞書を引き、いくつかの文章を読んでいたら、その人生エッセイに、著者に魅了され、授業から飛び出し、とりつかれるようにリスボンへ向かう。スイスのベルンからポルトガルのリスボンまで列車を乗り継ぎ、最後は夜行列車。

アマデウ・デ・プラドという貴族階級の医師。自費出版らしく出版社名ではわからない。古本屋の前店主まで追いかけて、輪郭を得る。死後に本を出したのは妹で、医師だった頃の青い家に住んでいるのかもしれない。ようやくたどり着いてみると、八十歳代の上の妹アドリアーナはいまだに兄の呪縛にとらわれたまま生きている。

片言のポルトガル語により、次々とアマデウに関わった人々を訪ね、話を聞く。下の妹リタ、同級生だったジョルジュ、少年時代の師バルトロメウ神父、友人マリア。

眼鏡を壊し、代わりを作る際に知り合った眼科医マリアナ、その伯父で、かつてのレジスタンスは、アマデウとも知り合いだった。拷問による傷跡。医師として秘密警察の将校を助けたために、市民に非難を浴び、罪滅ぼしにレジスタンスに関わったアマデウ。

独裁政権下に生きたアマデウの人生をたどりながら、グレゴリウスもまた本物の人生を求める魂の旅を続ける。
アマデウの言葉には人生の深奥を窺わせるものもあれば、彼の人生を父子関係を、妻との関係などについての、率直な思いが綴られている。

自分を見失い、一度故郷に戻ったグレゴリウスだが、今や昔のようには生活できないと知り、リスボンへ戻る。体調の不安さえなくなればリスボンで新たな人生を生きるのだろうか?

最初の女性との再会はないような感じ。ただのきっかけに過ぎなかったのか?