天山の巫女ソニンシリーズの著者による歴史ものがたり。

千年あまり前の東北には太平洋側に陸奥の国、奥州があり、日本海側には出羽の国、羽州があった。奥州の国でエミシの首領アテルイが坂上田村麿により捕まり、斬首されてから七十年、羽州でも反乱の兆しが見えていた。国司良岑の過酷な徴税に苦しむ民。折しも襲った干ばつを契機に、北部の村村が団結して国司に反旗を翻した。のちに天慶の乱と呼ばれる。

その乱の前後に生きた少年少女を主人公に、乱の顛末を描いた話。
村長の娘ムメは鷹を育てる祖父をならい、片目の鷹アキを世話していた。長女として家事もこなす娘だった。

折しも東北生まれで、エミシに好意的なためと、清廉潔白のせいで職を解かれた小野春風が家族をつれて羽州に来る。川遊びの最中、鉄砲水で流されかけた息子の春名丸を、洗濯していたムメと、知り合いの少年カラスが助けたことが縁で、三人は知り合い、春名丸の父により、様々なことを教わるようになる。
数年の付き合いで彼らは仲良くなり、成長する。博多に任官した春風は家族と共に去る。
その後国司の悪政により民の暮らしは追い詰められ、北部十二の村長が団結して、反旗を翻すことになる。さらにアテルイの生まれ代わりだと言われる盗賊ジオが手下をつれて参加して、政庁を乗っとる。役人を傷つけたために村を逃げ出し、死にかけたカラスはジオに助けられ、春風に習った武術により、ジオのために働いていた。
反乱に困った都は、統治に実績のある藤原保則を征夷大将軍に、副将軍に東北に明るい小野春風を任命して派遣する。

こうして数年ぶりに再会した三人だったが。春風の人柄により、乱をおさめようとするものもあれば、あくまで徹底抗戦を主張するジオもいる。

ムメの説得とともに、いつまでも戦い続けてはいられないという良識的な村長の意見で、終息するかに見えた反乱。あくまで交戦を唱えるジオは政庁を離れ、北の砦に閉じ籠る。カラスも同行する。

征討軍に村長たちが要求した北部の秋田河以北を半ば自治領と言える己地にする案が、何度かの保則と春風の申請により認められたとき、反乱は鎮圧された。首謀者として無名の兵士の首を都に送る二人。

ジオの砦につかまった春名丸こと春雪をムメとカラスにより救い出したことで、ジオは北海道に帰った。

こうして迎えた己地での春祭りで三人は再会。新たな日を迎えることになる。