サリー・ロックハートの冒険シリーズ第三巻。シリーズは第四巻まであるが、そこでの主人公はサリーの兄とも言える仲間ジムになるため、これがサリーの最終になる。

前作で結ばれたばかりの恋人フレッドを、敵が放った火事で屋敷もろとも失ったサリー。絶望した彼女は体内に忘れ形見がいることを知り、新たに生き始める。郊外に果樹園のある屋敷を買い求め、フレッドの叔父で、サリーと写真館を共同経営する写真家ウェブスター、昔からの仲間ジムと三人で住み始める。冒頭ではウェブスターとジムは南米に行っていて留守。二歳になった娘ハリエットと庭で過ごすサリーが描かれている。そこへ登場するのが召喚人。裁判べの出頭書を届ける男。
中を見て驚く。子供をつれて家を出た、身持ちの悪い妻を離婚したいと、しかも親権を勝ち得て子供を引き取ると。委託代理業者である夫バリッシュには、結婚証明書もあると言う。

はじめはバカにしていたサリーも、身に覚えがなく、でたらめだと反抗してみたが。法的に有効な書類をつきつけられたら、動きが取れない。弁護士も悲観的だと知ったサリーは、ハリエットをつれて家を出る。しかしビクトリア時代には妻の財産は夫のもの。それを盾に、銀行の預金も経営していた財政コンサルト事務所も取り上げられてしまう。

今回はさらに当時のユダヤ人難民問題が取り上げられ、それに関心を持ち行動するジャーナリスト、ダニエルが関わってくる。貧困や難民問題と共産主義、社会主義のことが取り上げられる。
無一文で家出したサリー親子を助けてくれたのはそんな人々だった。ダニエルの協力で、避難所を見つけ、さらに夫と名乗る男の背後に影の首領がおり、それが難民を作り出し、避難する彼らから金をむしりとる悪事を働いていると知らされる。
訳のわからない結婚証明の謎を解く鍵は、影の首領だと気づいたサリーは、その屋敷が近くにあると知り、変装して潜り込む。

そして明らかになったのは、第一巻で、父を殺した敵を身を守るために撃ち殺した、その敵が影の首領だった。脊髄損傷で身動きできない体になった恨みと、金儲けの強欲で生きてきた悪人りー。正体がわかり、あわやというときに、屋敷の地下室が崩壊し、屋敷も倒壊して、窮地に一生を得るサリー。さらわれた娘もダニエルたちに救われた。未婚の母サリーはダニエルと結ばれるような雰囲気。

倒壊した敵の屋敷から救い出される現場に駆けつけた帰国直後のジム。彼の冒険も読みたくなる。