著者はジャーナリストから、イギリスを代表する児童文学研究家、児童文学作家になった方という。

南海の孤島に住む英語を話す住民たち。島にはひみつがあり、それが明らかになったとき、島や島民は生まれ変わる。

南海の孤島ハルシオンには百人ばかりの住民が、神とも言える創始者の書いたと言われる導きの書があるが、今はそれを読めるものはいない。内容を口づたえに継承している、読みびとと言われる指導者により、外界とは無縁に暮らしていた。
周囲を暗礁に囲まれ、小舟が入れる入り江しかない。中央に火山がそびえ、そのふもとに海からの細い道を上がったわずかな高台があり、そこで住民は暮らしていた。南極に近い島の冬は厳しい。

島民内には争いもなく平和に暮らすが、島の外から来たものには厳しい。船があれば追い返し、なければ隣の無人島に捨てて省みない。

ある日、十六歳の少女モリーと、兄のトーマスは、見慣れない小舟が漂着するのを発見。仲間と共に入り江の浜辺へ引き上げてみると、はだか同然のおない年くらいの少年少女が瀕死の状態だった。周囲千キロ内には島はない。どれだけ漂流してきたのか。

村の集会所までつれてはいけないと、海辺の洞窟で一人暮らす老人エイベルのもとへ二人をつれていく。
どうやら話す言葉は違う。若いときに愛妻をなくし、子供もいないエイベルはいつか二人を子供同然に思うようになる。

島の決まりではよそ者は追放。助けられた二人は元気になると、モリーたちと変わらない。そんな二人を追放することに反対するものも出てきて、指導者は困惑する。結局、エイベルに預けることで島に住むことを許す。

しばらくたって、助けられた二人と同じ島にいた住民が十人あまり来島。住んでいた島が火山の噴火にあい、逃げ出したらしい。
狭い島で多くのよそものまでたべさせることまではできないと、罪の島と言われる隣の無人島に追い出す。

無人だと思われていた島の反対側に、漂着した西洋人が住み着いていることが発見され、互いに交流を深めていく。

今は誰も読めない聖書、導きの書をその西洋人に読んでもらうことにしたのは、新たに指導者となったモリーの義兄アダム。そして明らかになった島の住民の正体と、島の歴史。航海の反乱者が官権の目を逃れて隠れ住んだ島。実態がわかり、新たな生活を始める島民たち。

面白かったというよりは、隔絶した島での決まりのいい加減さや、怖さかな。