シリーズ第三部上巻を読み終えた。

アルニ族の鷹乙女ナルチアとの婚礼の夜、彼女のために母方の祖父鷹族大祭司からもらいうけて来た魔法の指輪により、聞き耳は下半身がヤギの半獣にされ、屋敷を飛び出し、森の中に潜む。記憶もなくしたが、動物と話す能力を持った聞き耳。冬を迎えて、洞窟にねぐらを見つけた彼は、ヤギの一団と冬ごもりをするようになる。首にかけた魔法の石から石目と呼ばれる。

その石を執念深く付け狙うナルチアは鷹に変身し、上空を舞う。彼女に脅されて、石を盗もうとしたイタチの針歯は、逆に友となり、春を迎えて旅に出る石目の同行者となる。

漏れ聞いた牧人の話や旅で出くわした様々なものから、石目は失った過去の断片を取り戻していく。昔馴染みのひきがえるの金目や湖の水蛇リンクラ。老いた石取り師は、彼の話し相手にと、松の芯から杖を作り、石目に渡す。松だと気づくまでは無言だった杖は、やがて貴重な助言者となる。あの石取り師が遥か昔に賢女ウルラに魔法の石を授けたという話には驚く。

聞き耳を探す魚を友にする少女も石と同じ目を持つ。ようやく顔を合わせたものの、彼の姿に驚いて逃げてしまう。

鷹乙女に奪われた石を取り戻してくれた勇気あるねずみたち、蛇と語る者と、鷹に予言する者。

かつて魔法の笛の音色で自分が引き起こした不幸の顛末を聞いた石目は悩む。一度は衰退した掠騎族が、再起して略奪遠征を起こし、聞き耳の馴染みの集落を町を根こそぎにしたことを聞いた石目は、絶望し、毒薬を飲んで、泉のほとりで石化してしまう。石の彫像となる。持ち歩いていた杖は傍らで芽をふき、やがて樹となり、石目をおおう。

やがて石と化した石目は居ながらにして、時間も場所も超越した映像を見るようになる。勇気ある小ねずみが鷹巣から石を取り戻し、水蛇の助けで逃げおおす場面。鷹乙女が掠騎族の襲撃から鷹に変身して逃げ出す様子。変身させる金の鎖が出来上がる様。鷹に変身して命を失った鷹乙女の母親の様子。その時に邪悪な気持ちから金鎖を横取りした鷹乙女。賢女ウルラにもてなされ、彼女の歌に出てくる石の肌の者が自分だと気づく石目。祖父である和らぎの笛匠がかつて湖岸の漁村で笛をふき、なしとげたこと。はるか後世の石目一族の少女。

石目は聞き耳に戻れるのか?