上下二冊をようやく読了。はじめは主人公の弁護士の饒舌に閉口して、頁が進まなかったが、下巻に入り、展開が気になり、最後まで飽きることなく読めた。シェイクスピアの無名の原稿が残っていた、しかもスコットランド女王メアリーを題材にした。

主人公は知的財産権が専門の弁護士。ある日学生時代からの親友でシェイクスピアの研究者である大学教授の紹介だといって、古い書簡を持ち込んでくる。十七世紀のある兵士が家族に宛てた手紙で、そのなかに、シェイクスピアの世に知られていない脚本の原稿の隠し場所が暗号で記されているという。その男も世界的なシェイクスピアの学者だったが、偽物をつかまされたスキャンダルでオクスフォードを追われ、アメリカにいる。

話は古書店に勤務するクロセッティとキャロラインが偶然古書籍の表紙の裏に詰めれられていた手紙を見つける。その真価を隠して教授が買い取り、弁護士に持ち込んだ。しかしクロセッティたちはすべてを渡さずに密かに暗号解読を進めていた。

教授がロシアマフィアに殺され、弁護士とクロセッティたちも狙われるといった展開を見せる。

弁護士の父はユダヤ人でマフィアの会計士として知られ、逮捕されるのを嫌い、イスラエルに退去している。兄はヤンキーの神父、妹はモデル。亡き母はナチス将校の娘という複雑な生い立ち。彼の妻は二人の子を連れて別居。原因は彼の浮気。
一方クロセッティは警官の息子で、妹も警官、母親は博識。

話の展開には二人の家族も巻き込まれ、さらに彼らに近づく謎の女性が存在し、実は同じ女性でマフィアの指図で動いていたことが明らかになる。

問題の手紙も示され、暗号の解読も進み、ついにシェイクスピアの墓碑銘であるタイトルがヒントになって、原稿が発見されるが。弁護士の子供たちがマフィアにさらわれ、弁護士が隠れている別荘で対決。マフィアを出し抜いて辛くも原稿を守りきる。犯罪の証拠として裁判所にある原稿をめぐっての知的財産権の裁判がイギリスと弁護士の間でやがて行われる。それにより弁護士もクロセッティも金持ちになるのだろう。浮気を封じ、妻との仲が少しよくなった弁護士。嘘で固められていた謎の女と暮らし始めたクロセッティは、事件をもとに念願の脚本を書き、映画化も予定されている。

問題の原稿を隠した一兵士の人生とシェイクスピアとのかかわり合いは、フィクションとしてもなかなかよかった。むしろこちらの方がよかったかな。