小学校の運動会の一日を描きながら、その陰でドラッグをめぐって交差する子供たちとその親たち。

マサルは六年生、小学校最後の運動会に望む。六年生は分担して、運動会でいろんな役目をこなさないといけない。今まで縁がなかった優勝カップ。それを校庭に勝手に持ち出すことで、はじめてカップを手にすることにした。するとその底に空のカプセルシートを見つける。なんでこんなところにあるの?マサルの父親は薬剤師で、県庁職員として学校に薬の話をしに来たこともある。最近流行りの危険ドラッグはもちろん、医師の処方のない薬をむやみに飲まないようにと。最近薬の中毒で入院した親もいるし、飲み合わせによれば死ぬこともあるから、これは殺人の証拠かもしれないと、頭がいい友達ヒロシが言い出し、むやみに捨てられなくなる。
目次が運動会のプログラムになっていて、たんたんと種目が進み、マサルたちも競技に出たり、役目を勤めるために、見つけたカプセルシートの隠し場所に四苦八苦する。

二年前に亡くなったマサルの母親。慣れない主夫を兼ねる父親は、昼近くにマサルの弁当をもって学校へ。PTA役員の母親から話しかけられたり、無理矢理、役をふられたおりに聞き出された携帯メールに見知らぬメールが来たり。そのなかになにか薬物が学校内に出回ってることを知らせるものがあり、職業柄無視できず、密かに調べ始める。しかも入院した母親の一人が薬物の中毒死したと聞かされ、そうした薬物の捜査畑の知り合いに連絡し、証拠になりそうな、捨てられたカプセルシートが紛れ込んだごみを確保。

母親たちのクラブ活動のビーズ装飾。出回っているカプセルの入れ物にもその装飾がされている。

マサルたちの探偵と父親たちの捜査が交差したのは、なんとマサルの親友の母親だった。ダイエット薬を学校内で販売していた。でもその販売網に割り込んで、危険なドラッグを売ろうとした人物がいることが明かになり、張本人が中毒死した女性ということで決着した思われたのに。最後に真犯人の独白が描かれていて、なんか不気味だった。主人公が小学生なんだからと、児童文学に近いものという先入観があり、そんな白日のもとに明らかにならない真犯人がいるなんて、許せない気がした。

見かけとは違い、ミステリーなんだ。鮎川哲也の名を冠した賞でデビューした作家なんだ。