昨夜日付が変わる頃に読み始めたが、興味深くて、一気に最後まで読んでしまう。深夜2時。連日の夜更かしは体にこたえる。

イギリスの作家で、その父の故郷を舞台にした不思議な話。

デパートに名前のメモだけで置き去りにされたトムは、十三歳になるまでいくつもの里親に育てられてきたが、孤独であり、それが苦にならなかった。

近所の施設建築現場で、妙なものが掘り出され、鉄条網で囲われ、ガードマンがつく。噂では死体、遺跡、宝が出たとか。好奇心と何か引かれるものを感じたトムは深夜侵入。穴が掘られ、回りにはたくさんの棺桶が並んでいる。ガードマンに見つけられ、逃げようとして穴に落ちる。

気づくと、どこかの海岸。人だかりがある。少年が船を出して転覆溺れたらしい。みな死を痛むばかりで、取り巻いている。

トムは飛び込んで、その少年を岩から下ろしてもらい、人工呼吸をほどこす。学校で習ったがうろ覚え。それでも十分近くかかって蘇生に成功する。

よく見ると自分と瓜二つ。人だかりのなかに妖精シーモアの姿が見えたような。助けた少年の家につれていかれ、なぜかその家族に引かれる。
百年前のアイルランド西岸の島。当時病害によりジャガイモが三年不作で、深刻な状態。イギリス人の地主に追いたてられ、父を失った家族は、アメリカ移住のために、東岸のダブリンまで歩いて出掛ける。途中ボクサーとの賭け勝負で、カンフーができるトムは勝ち、馬車を手に入れる。トムは何度も現代のリバプールとその家族野本を行き来する。ダブリンまでたどり着いたものの、母と長男はなくなり、無縁の墓場に大勢の人と共に埋葬される。見つかったたくさんの棺桶がそれだと気づいたトムは母親と長男の棺桶を探しだし、密かに別の場所に葬る。他の棺桶はすべて火葬に付された。

助けた少年が妹のために手作りした指輪をトムが譲られていた。カンフー教室のコーチの名前がその家族と同じで、同じ指輪を持つと知ったトムは、コーチの家にいく。その妻があの家族の子孫であり、トムの実の母親だとわかり、トムの人生は変わる。誘拐され、捨てられたトム。助けた少年はトムの曾祖父だった。不思議な話だが、それを演出したのは妖精シーモアだったかどうかは語られない。