サトクリフ・オリジナルのアーサー王物語三部作の第二巻。伝説に名高い聖杯物語。

しかし、私にはつまらなかった。
聖杯とはキリストが最後の晩餐に使った酒杯で、十字架に掛けられたキリストが流した血を受け止めた杯として、キリスト教徒により神聖視された伝説の聖杯。伝説では、キリストの遺骸をもらい受けた商人ヨセフが、この聖杯をイギリスに持ち込んだとされる。その後ヨセフゆかりの王族が守り伝えたと。その聖杯を手にするものはその神秘にあずかると。ただそれが預けられたペレス王のもとに直接行っても神秘は体験できない。高潔無比の最高位の騎士のみが、様々な冒険や試練に打ち勝った後に手にすることができ、神秘に参入できるとした。

アーサー王がサクソンの蛮族や北方やアイルランドの野蛮な種族を撃退し、イングランドに平和をもたらした治世の終わりに、聖杯探索の機運が持ち上がり、円卓の騎士たちは聖杯探索に出ていき、半数近くの勇敢な騎士たちが、死を迎えたり、アーサー王の都キャメロットに戻らなかった。

数ある騎士のなかでも聖杯探索に活躍した騎士は少ない。この巻で活躍するのはランスロット、その息子ガラハッド、パーシヴァル、ガウェイン、ボールス。ただ湖のランスロットとして、円卓の騎士の中で最高の騎士と呼ばれた彼は、ここでは惨めな敗北をし、聖杯にも手が届かない。聖杯とはキリスト者の魂に関わるものであり、王妃との道ならぬ恋に落ちたランスロットはキリスト者にとっては不名誉な存在だったからだろう。

代わりにその息子であるガラハッドが最後には聖杯を手にすることになるが、神秘に触れたために、人として生き延びることが許されず、命を失う。

サトクリフによれば、聖杯物語は、バニヤンの『天路歴程』に描かれたような、人が完全な信仰、宗教的真実に至る道筋を描いたキリスト教信仰の物語だと言う。それとともに、ケルトの神話や伝説が息づく探求物語でもあると。

それを現代人なら人生の旅路と重ねて読むこともできるのかもしれない。

一人の主人公の物語ではなく、何人もの騎士たちのエピソードによりよりあわされた物語は、私にはわかりづらく、あまり楽しめなかった。しかし、三部作もあと一巻。アーサー王の死を描く第三巻のみ。なんとか目だけでも遠そうか。サトクリフ作品は、この辺でひとまずやめようかと思う。